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保護者に出来る帰国前後のグッドアクション|Action2 帰国前編<1>

滞在地での毎日に忙しくても、気になるのが、帰国後の我が子の学校生活。「日本でも楽しんでもらいたい」という切なる願いを実現するため、保護者が帰国前後にできることとは何でしょうか。5人の専門家に提案してもらいました。

Action2|入学・編入学に向けて子どもの気持ちを整えていく

特に大事にしたい3つの気持ち

1. 不安感

不安感
「帰国前の子どもは不安でいっぱい。これは保護者も同じでしょうが、大人は一つひとつ不安なポイントをクリアにしていけば、それなりの見通しを立てられるはずです。その上でどっしりと構えて見せましょう」(中里氏)

2. 自尊心

自尊心
「不安感が大きくなると自己否定の感情が出てくることも。入学や編入学を控える子どもには『自己が認められる居心地のよい場所』の保険として、学校外に習い事等を探しておいてあげるとよいかもしれません」(中里氏)

3. 喪失感

喪失感
「今の学校に通えなくなることは子どもにとって大きな喪失体験。保護者も同時に喪失体験をするので大変ですが、子どもが悲しんでいたら否定せず、話をよく聞き、感情をただ『そうだよね』と肯定的に受け止めてください」(中里氏)

帰国後のショックを小さくするためにできることは?

Action1で通いたい学校が決まり、入学・編入学に向けた勉強や試験をクリアしたら、次は実際に入学・編入学するために子どもの気持ちを整えていく。ここで大切なのは、帰国後のカルチャーショックをおさえてあげること。三井氏はショックをおさえる手段に、「現地と日本の違いを親子で確認すること」を挙げる(詳しくは「帰国前にやっておきたいことリスト」参照)。この際、海外生活を経た子どもにとっては日本の文化が異文化になるケースもありうることを念頭に置き、「困ったときには友だちや先生に助けを求めて大丈夫」ということをしっかり伝えるのも大事だという。

心理面で尊重したいことに臨床心理士の中里氏が挙げるのは、不安感、自尊心、喪失感。海外から日本に帰る子どもなら誰しも味わうだろうこの3つは、同じときに帰国を経験する保護者だからこそよく理解して寄り添えるものだろう。

「表面上は平気そうに見えたとしても、水面下ではこうした気持ちと戦っているのだと知っておくことで、子どもが弱気な面を見せたとき、どんなに忙しくても話を聞こうという気持ちになれるはず。保護者が一番の味方であること。これが子どもの心を整えるための大切なカギになります」(中里氏)

お話を伺った方

海外子女教育振興財団 三井知之(みつい・ともゆき)氏

同財団の教育相談員として、帰国子女とその家族をサポートする。海外の日本人学校教諭や校長、東京都教育庁の課務担当副参事、港区小学校校長、杉並区小学校統括校長などを歴任。

臨床心理士 中里文子(なかざと・あやこ)氏

メンタルヘルス・ケアの専門家、AGカウンセリングオフィスの代表。教育委員会や児童相談所での子育て相談に加えて、一般企業の駐在員とその家族のためのカウンセリングも行う。

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