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保護者に出来る帰国前後のグッドアクション|Action1 帰国前編<2>

滞在地での毎日に忙しくても、気になるのが、帰国後の我が子の学校生活。「日本でも楽しんでもらいたい」という切なる願いを実現するため、保護者が帰国前後にできることとは何でしょうか。5人の専門家に提案してもらいました。

確認しておきたい学校の情報リスト

各学校の傾向

国立 「学費をおさえつつ質の高い教育を受けられるのが国立大学付属の学校で、小中高のいずれも大都市圏に集中しています。小学校の特徴は帰国後の適応指導を教育プランに練りこんだ学級があること。中学校では付属高校を持たず、高校進学時に全員が受験を必要とするケースが(※)。また、東京都内には高3の4月まで帰国生を受け入れる高校も」(三井氏)
公立 「近年では『学校選択制』を実施する自治体が出てきて、通う小中学校を選ぶことが可能な地域も増えました。また、近年大人気の中高一貫校でも、帰国生入試を実施する学校が少しずつ増えてきています。高校は都道府県ごとに募集学科・人数や出願資格・条件などが異なり、中には、帰国子女向けの特別選抜を実施している学校もあります」(三井氏)
私立 「高水準の英語・多言語教育、習熟度別の授業、国語力のサポート、帰国生を中心に受け入れる体制など、財力が許せば、我が子の個性や学習歴に合う学校を見つけやすいのが私立。帰国生受け入れ校は首都圏、関西、中部、広島、福岡等に集中していますが、寮のある学校も多いです。近年では、共学化する学校が増加。選択肢がより増えてきています」(三井氏)

※…中学校は共学で高校は女子高という学校もあり、その場合は男子のみ受験が必要に。

要チェック!

帰国生への授業での配慮

「帰国生の受け入れに積極的な学校では、海外在住中に未履修だった範囲や教科の学習を支援したり、生活面での適応教育に力を入れていたりするケースが比較的多いです。とはいえ、どこまで必要か、検討が必要です」(三井氏)

帰国生の実際の人数

「全校児童・生徒に対する帰国生の人数により、特色は大きく異なります。お子さんの海外歴や性格と照らし合わせて検討を。気を付けたいのは、受け入れ校でも実際には帰国生ゼロというケースもあること。事前確認が必須です」(三井氏)

教育理念や雰囲気

「学校の方向性を知る近道が教育理念の確認。『こんな児童や生徒を育てたい』という教育理念は、教育方針、カリキュラム、学校の雰囲気などを決定づけるからです。そのためまずは教育理念がお子さんと合うか、吟味を」(三井氏)

PTAの活動状況

「活動内容はHP等でご確認を。一般的に小学校が活動頻度のピークで、中学校、高校と進んでいくにつれ参加人数や出番が少なくなります。最近では父親がPTA会長になる、活動に父親が参加するといったケースも増加しています」(三井氏)

卒業後の進学実績

「データはHP等で見られます。ただし合格者数は基本的に1人が複数校合格した場合も含めてカウントされています。そのため、高校の場合は併願ができない国立大学の合格実績を見れば、学校の実際の力と考えることもできます」(三井氏)

いじめと対応の傾向

「転出・転入の多い学校のほうが新たな者の受け入れに慣れており、いじめが少ない傾向にあるとされます。また、問題が起きた際の対応も要チェックです。その学校に詳しい知人がいれば、過去の事案を聞いてみてください」(中里氏)

お話を伺った方

海外子女教育振興財団 三井知之(みつい・ともゆき)氏

同財団の教育相談員として、帰国子女とその家族をサポートする。海外の日本人学校教諭や校長、東京都教育庁の課務担当副参事、港区小学校校長、杉並区小学校統括校長などを歴任。

臨床心理士 中里文子(なかざと・あやこ)氏

メンタルヘルス・ケアの専門家、AGカウンセリングオフィスの代表。教育委員会や児童相談所での子育て相談に加えて、一般企業の駐在員とその家族のためのカウンセリングも行う。

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