Press "Enter" to skip to content

保護者に出来る帰国前後のグッドアクション|Action2 帰国前編<2>

滞在地での毎日に忙しくても、気になるのが、帰国後の我が子の学校生活。「日本でも楽しんでもらいたい」という切なる願いを実現するため、保護者が帰国前後にできることとは何でしょうか。5人の専門家に提案してもらいました。

帰国前にやっておきたいことリスト

人間関係の準備(小学生)

困った際の対処法を教える

「『給食の盛り付けかたを教えて』や『家庭科室の場所が分からないので一緒に行ってほしい』など、何かに困ったら周りの友だちや先生に気軽に伝えて助けてもらって大丈夫! 思い切って話しかけることで相手も嬉しくて、きっともっと仲よくなれるよ、と伝えておきます」(三井氏)。

友だち作りの準備①

「日本の学校で『流行っていること』や『服装の傾向』などをリサーチし、親子の雑談の話題にしておくと、日本の友だちを理解しやすくなり、距離も縮まりやすくなります」(中里氏)

友だち作りの準備②

「日本では、一人ひとりの個性だけでなく『協調性』も大事にしていることを教えておきましょう」(佐藤氏)

学校生活の準備(小学生)

交通ルールを教える

「車が左側通行であること、信号機のない横断歩道では歩行者を優先してくれない車も少なくないことなど、日本の交通ルールや慣習を教えておきましょう」(三井氏)

今の学校との相違点を教える

「学校のHPなどを確認し、今の学校にはなくて帰国後の学校にはあるものを、わかる範囲で伝えます(上履き、ランドセル、リコーダー、給食当番、掃除当番、和式トイレなど)」(中里氏)

未履修の把握&フォロー

「教科書を取り寄せたり、塾や補習校で教わったりして、未履修の学習内容の把握とフォローを。現地での生活や勉強で忙しく、親子共に大変ですが、平仮名・片仮名・漢字などの練習を着実に進めておく必要も」(佐藤氏)

人間関係の準備(中学生・高校生)

文化的な違いを教える

「先輩・後輩の上下関係があること、先輩には敬語で話すのがベターであること、個より集団の論理が優先されるケースが多いことなどを伝えます。自分らしさをかくす必要も、過度に構える必要もないですが、適度な心構えは大切です」(佐藤氏、三井氏)

好きなことを再確認させる

「共通の趣味(スポーツ、ゲーム、アニメ、ドラマ、音楽、漫画、アート、料理、服など)を介して、気の合う友だちを見つけられるように、お子さんに自身の好みを再確認させます」(中里氏)

カウンセラーを事前に確認

「人間関係に悩んだときに相談できるスクールカウンセラーの先生がいるか、外部からならどのくらいの頻度で来校するか、どんな方なのかなどを確認しておくと安心です」(中里氏)

学校生活の準備(中学生・高校生)

交通ルールを教える

「中高生は自転車で通学するケースが増えるため、危険がいっぱい。我が子が小学生に戻ったと思って、簡単な交通ルールや慣習も1から親子で確認するようにしましょう」(三井氏)

今の学校との相違点を教える

「学校のHPなどを確認し、今の学校にはなくて帰国後の学校にはあるものを、わかる範囲で伝えます(上履き、部活動、委員会、給食、文化祭、掃除当番、和式トイレなど)」(中里氏)。「授業時間が50分以上だということ、教科によっては教室移動があることなど、授業関連のことも伝えるようにします」(三井氏)

未履修の把握や塾の検討

「塾や補習校などで、未履修の学習内容の把握とフォローを。帰国後に通う塾の目星もつけておきます」(佐藤氏)

お話を伺った方

海外子女教育振興財団 三井知之(みつい・ともゆき)氏

同財団の教育相談員として、帰国子女とその家族をサポートする。海外の日本人学校教諭や校長、東京都教育庁の課務担当副参事、港区小学校校長、杉並区小学校統括校長などを歴任。

臨床心理士 中里文子(なかざと・あやこ)氏

同財団の教育相談員として、帰国子女とその家族をサポートする。海外の日本人学校教諭や校長、東京都教育庁の課務担当副参事、港区小学校校長、杉並区小学校統括校長などを歴任。

教育ジャーナリスト 佐藤明彦(さとう・あきひこ)氏

『月間 教員養成セミナー』元編集長。近著は『GIGAスクール・マネジメント「ふつうの先生」がICTを「当たり前」に使う最先端自治体のやり方ぜんぶ見た。』(時事通信社)

【関連記事】