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帰国子女教育情報|インターナショナルスクール 入学マニュアル③~学費の準備~

国際化を背景に、日本国内のインターナショナルスクールは年々増加しています。読者の皆さんの中にも「帰国後は我が子をインターナショナルスクールへ」とお考えの方はいらっしゃるはずです。ではその場合、保護者として何をどう準備すればいいのでしょう。今特集では、その準備方法を専門家にヒアリング。ハウツーとしてご紹介します。今回は「学費の準備」についてです。

Q. 学費はどれくらい貯めればいい?

A. 1年間にかかる額×通う年数=総額をざっくりと割り出し、帰国前にその半額を貯金。帰国後は毎月の給料から支払うのが理想です。(教育資金コンサルタント・菅原氏)

海外で半額を貯めて帰国後も余裕で払うと◎

日本にあるインターナショナルスクールの多くは一条校ではないため、国からの公的補助金がほとんど得られず、税金の優遇措置も対象外だ。

これにより、施設の整備や、海外から優秀な教員を招き入れるための金銭的な負担がそのまま計上されてしまい、一条校と比べると学費が高額になっている。内訳は相場で入学金30万円、年間施設費50万円、年間授業料200万円で、これは私立の一条校の2・5倍ほど高い金額。

また、在学中だけでなく卒業後の教育費も比較的に高額になりやすい。なぜならインターで学んだ子どもは、高校卒業後に海外の大学進学を希望するケースが多いからだ。例えばアメリカの名門私大に通うことになれば4年間で1500万円以上など、相当な額を学費に充てることに。教育費について詳しい菅原直子氏はこうしたことをふまえ、(編)入学前の教育費貯蓄法について次のようにアドバイスする。

「インター卒業後にかかりうる高額な学費を想定すると、理想的な貯蓄方法は、少なくとも(編)入学前には卒業までにかかる総額の半分を用意しておき、(編)入学後は帰国してからの毎月の給与から残りの学費を払って、さらに卒業後の大学進学に向けた貯蓄を開始することです」(菅原氏)

それが難しい場合、学費をどう工面したらいいか。

「インター在学中の学費の支払いが自転車操業になるのは否めませんが、例えば卒業後の進路を、日本国内の大学や海外でも比較的学費が抑えられる大学にすることで解決する方法も。近年は奨学金を出す企業やインターなども増えていますから、これも検討すべきでしょう。ただし該当者はごく少数です。また、最近では日本で『高等教育の無償化』が話題になっています。これを文字通り捉えて頼りにし、大学等への進学を日本でするならお金はかからないから、貯蓄はしなくて大丈夫(インターの学費さえ支払えていれば大丈夫)と考えるご家庭もあるかもしれません。ですが、授業料が減免される対象は、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯(会社員、専業主婦、子ども2人の家庭で年収約255万円以下)。このため残念ながら適応外となるご家庭が大半に。保護者の懐の都合だけで子どもに想定外の進路変更を迫ることにならないよう、やはり帰国前から、収入と支出を具体的にシミュレーションしておくことが大切です」(菅原氏)

【注目】海外滞在中の教育費貯金法1・2・3

1. いつまでにいくら貯めるかを明確化

お金を貯めるときに一番大事なのは、貯める金額と目標時期を決めてそこから逆算し、1年間でいくら貯めればいいかを明らかにすること。

「例えば、“インターに中学から6年間通った場合の総額の相場にあたる840万円を海外に滞在する4年で貯めるなら、1年間で210万円”という具合。貯める金額と目標時期を決めるにはまず、時間軸に沿って、子どもが何歳のときにこれだけの学費がかかるという一覧表を作るといいでしょう。中学課程に入るまでに〇〇〇万円、といったわかりやすい目標時期設定もおすすめです」(菅原氏)

2. 収入は生活費、貯蓄、予備費に分類

貯める金額と目標時期を決めたら、収入を生活費・貯蓄・予備費の3つに分類しよう。

「例えば海外基本給は生活費に、国内給与は貯蓄に、帯同家族手当などの各種手当は予備費に。予備費は使わなければ貯蓄にまわします。国内給与が例えば18万円だとすれば1年間に貯められる金額が216万円となり、1の目標をクリアできます。もちろんこれに学資保険や財形貯蓄を組み合わせて、貯める金額をアップしてもいいです。貯蓄用の口座は忘れずに、クレジットカード等の決済口座とは分けておくようにしましょう」(菅原氏)

3. 目標達成が難しければ優先順位づけを

海外滞在中は「せっかくだから、今しかできない体験や学びを我が子に与えたい」と考えて、ついつい予定外の出費を重ねてしまうご家庭も少なくないはず。

「これにより目標貯金額に手が届かなくなるようなら、させてやりたいことに優先順位をつけなくてはなりません。帰国後の学費の準備が優先なのか、目の前の体験が優先なのか、ということです。保護者が用意できるお金には限度があります。やりくりは“今月”や“今年”という短い期間ではなく、“大学卒業まで”の長い期間を見据えてすることが大切です」(菅原氏)

 

お話を伺った方

菅原直子氏

菅原直子氏「教育資金コンサルタント」

各家庭のライフプランにぴったり合った資金計画作成を支援する教育資金コンサルタント。『子どもにかけるお金を考える会』『働けない子どものお金を考える会』メンバー。保護者に向けて『教育資金の具体的な作り方』『進学資金と奨学金』などのセミナーも。雑誌などのメディアでも活躍している。

 

【体験談】私は学費についてこう思った!

  • シンガポールでの学費とほとんど一緒だった。(シンガポールのインターからお子さんたちが中2・高1・高3時に編入学したE・Mさん)
  • 滞在国には学費が年300万円くらいになるインターも多数。それに比べると良心的。(マレーシアのインターからお子さんが小5時に編入学したK・Aさん)
  • スクールバス代(年40万円ほど)の支払いが予想外できていなくて、大変だと感じた。(ポーランドのインターからお子さんが高1時に編入学したT・Mさん)

 

【実例】インターでかかる1年間の費用

COLUMBIA INTERNATIONAL SCHOOL中等部
(初年度)の場合(2019年3月現在)

入学金 210,000円
施設費(※1) 420,000円
授業料(※2) 1,725,000円
メンテナンス費 150,000円
教科書保証金(※3) 20,000円
給食費 117,000円
PTSA年会費(※4) 12,000円
合計 2,654,000円

※このほかに任意で「学校充実費」、ひと口200,000円がある
※1…兄弟姉妹同時入学・在学の場合は免除
※2…2人目の授業料10%割引、3人目の授業料30%割引(奨学生の兄弟姉妹は対象外)
※3…卒業、中途退学時に返金
※4…Parent, Teacher and. Staff Associationの意。1家族1学年間の費用

小学部(初年度)は合計2,579,000円で、高校課程(初年度)は中等部(初年度)と同額。

 

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