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「小学校の理科」をお題に先生と教科書編集者がおしゃべりするポッドキャストとは?(後編)

先生の“休み時間”の話は職員室をのぞく気分?

現役の小学校の先生2人と教科書編集者が、小学校の理科の教科書に沿っておしゃべりをするポッドキャスト番組『おしゃべりな理科』がこの春から配信されている。パーソナリティは、木月里美教諭(きづき・さとみ/武蔵野市立小学校 主任教諭)、辻健教諭(つじ・たけし/筑波大学附属小学校 教諭)、森田雄介編集長(もりた・ゆうすけ/東京書籍株式会社 理科編集部)の3人。新しい取り組みへの思いや反響を、森田編集長に聞いた。(前編)から続く。

番組は理科の教科書に沿った内容がメインだが、ひとつのテーマが終わると【休み時間】という回が設けられている。「異動と春の職員室」「知られざる4月の先生の悩み」など、理科を離れたおしゃべりが展開され、まるで職員室をのぞいているかのようだ。例えば、4月にクラス替えがあって間もない頃はたくさんの児童の名前と顔を覚えるのが大変で、そのために“あるもの”が役立っているという。

「上履きの名前はちゃんと書くようにしてあげましょう(笑)。先生は意外とそこで名前を確認してるらしいので。理科の授業以外での、先生方と子どものやりとりや”教員あるある”など、リアルな話を聴けるのが面白いです」

森田雄介編集長

リスナーからのお便りが嬉しい

番組開始から2ヵ月弱だが、リスナーからのお便りも徐々に増えているという。森田編集長は、「お便りフォームに感想を寄せてくれるのは、最初の頃は理科に熱心な先生が多かったのですが、最近は理科が苦手な先生だったり、先生以外の方であったりと、多くの声をいただけるようになり、嬉しいです。また、聴取データを見ると海外で聴いてくださっているリスナーさんもいて、おそらくは日本人学校の先生方ではないかな、と推測してます。例えばサウジアラビアやエチオピアのリスナーさんは、どんな街のどんな場所で聴いてくださっているのだろうか…などと想像するだけで、胸が熱くなります」と、番組に手ごたえを感じている。

海外の日本人学校の先生方とも繋がりたい

森田編集長によると、番組パーソナリティの3人が編集に関わっている教科書(小学校理科用文部科学省検定済教科書『新編 新しい理科』)は、今年から海外のすべての日本人学校で使われているという。

「この番組が、日本人学校の先生方の役に立つようであれば嬉しいですね。番組を通して繋がりを持てたら、逆に、海外での理科の授業の苦労などもお便りテーマとして聞いてみたいです。【春の生き物】というテーマにしても、四季のない国ではまた別の授業の進め方があるかもしれません。星にしても、北半球と南半球では見え方が違うので、どのような授業になるのか興味があります。いつか“日本人学校の先生あるある”話も、お便りで募集したいですね。そのためにも、まずは地道に長く番組を続けていくことが大事だと思っています」

小学校の理科の教科書というテーマが決まっているからこそ、広く深い話が展開されていくのが魅力。ポッドキャストは、過去の配信も好きなタイミングで聴けるので、ラジオ感覚で気軽に理科の世界に触れてみるのもいいだろう。

(取材・文/中山恵子)