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帰国までの賢いスケジューリング⑤「帰国後、子どもをスムーズに幼稚園・保育園に入れるには?」

不測の事態で、様々な予定の再調整が必要になることも多い昨今。受けるダメージを最小限にするにはあらかじめスケジュールをイメージしておき、いざというときに調整しなおせる範囲を把握しておくことが得策です。そこで専門家に、帰国を前提とした海外滞在のなかでよく伺う6つの希望を叶えるためのスケジューリングのコツを伺いました。今回は、「帰国後、子どもを幼稚園や保育園にスムーズに入園させるため」の賢いスケジューリングに焦点を当てます。

帰国後、子どもをスムーズに幼稚園・保育園に入れるためのポイント

日本への帰国時、学齢期の兄弟がいる場合はそちらの学校選択を優先し、未就園・未就学の子どものことは後回しになりがちだ。だが、帰国子女とその家族をサポートする海外子女教育振興財団の平彰夫氏によると、帰国直前になって入園を待機させられたり、いい園が見つからなかったりして慌てる家族は少なくないという。

「『まだ、先のことだから』『まだ、小さいから』とは考えず、早めの行動を。日本での生活経験がない(またはその記憶のない)子どもにとって、帰国後の生活は未知です。だからこそ子どもに合った園の厳選が大切です」(平氏)。

最初にするべきは、夫婦での帰国後のライフプランの話し合い。「帰国後の共働きの可能性の有無をふまえて、帰国時のお子さんの年齢を想定し、海外滞在初期からある程度の情報収集を行ってください」(平氏)

POINT 1

日本での生活は、未就園児や未就学児にこそ未知の世界。学齢期の兄弟の学校選びの「ついで」にはせず、幼稚園・保育園選びにもしっかり時間をかけよう。

POINT 2

子どもの性格や家庭の教育方針に合った園で、なおかつ日本の学習や生活様式を少しでもサポートしてくれる園を探してあげられれば◎。小学校への移行がなめらかになる。

POINT 3

いくら我が子にぴったりの園を見つけても定員や時期の都合で入園不可の場合もあるため、問い合わせは早めに。その際、海外滞在中であることや帰国時期などを詳しく伝えるようにしよう。

 

スムーズに幼稚園・保育園に入れるための理想のスケジュール例

【滞在中ずっと】情報収集、一時帰国時には園の見学

現地の生活に慣れてきたら、準備スタート。

「渡航後しばらしくして生活に少し余裕を感じられるようになったら、帰国後のことを考え始めましょう。インターネットでの情報収集も大事ですが、長期休暇中に一時帰国し、実際に園の見学をするのがベストです。職員から直接話を聞いたり在園児の様子を見せてもらったりすると、よくも悪くも、インターネット越しとはまた違った印象を持つことがあります」(平氏)

【帰国1年前①】志望園を数園に絞って優先順位もつけておく

帰国の時期や居住予定の地域が見えてきたら、志望園を絞って優先順位もつけておこう。

「その際に頭に入れておきたい要素には、帰国子女の受け入れ経験があって帰国子女の保育・教育に慣れているか、日本の生活様式を大切にしているか、英語指導を取り入れているかなどが挙げられます」(平氏)。このほか、子どもの性格、家庭の教育方針、子どもの語学力(日本語と外国語のどちらが得意か)、子どもの海外滞在歴による特性、再び海外で暮らす可能性の有無なども考慮しよう。

【帰国1年前②】共働き予定でも保育園に限定しないで検討する

「近年は幼稚園と保育園の幼児教育の違いを少なくする『幼保一元化』が特に進んでいて、夜間や長期休暇中に預かり保育をする幼稚園や認定こども園が増えてきています」(平氏)。

そのため、「共働き=保育園」と安易に結論づけずに探したい。また、海外在住歴や今後の海外渡航予定(可能性)によってはインターナショナル幼稚園なども候補に入れて、様々な園を比較・検討してみるのがいい。

【帰国1年前③】園や役所に問い合わせて入園条件等を確認

帰国が日本の新年度(4月)のタイミングと合わない場合も、事前に入園条件等を確認しよう。

「幼稚園の場合は、欠員さえあれば4月入園にこだわらなくてもいい園もあるので、事情を話しつつ相談を。保育園の場合は、特に待機児童の多い都市部では最初から認可保育園に入園させるのは至難の業ですので、認証保育園(東京都ほか)や認可外保育園も視野に入れましょう」(平氏)

【帰国6カ月前】絞った志望園の空き状況の確認、事務手続き

入園前年の秋を目安に、絞った志望園の空きの状況・待機の状況を確認。必要な書類を取り寄せる、記入するなどの事務的な手続きも進めていく。実際に入園したあとのことも、この頃からイメージしておくといい。

「入園後は保護者の見守りがカギになります。新しい環境ではどの子も一定のストレスを感じますので、朝夕の表情や体調を見守ることを忘れないでください。子どもの様子に違和感を覚えた場合には、園とコミュニケーションを取りながら、ときには欠席させたり仲のいい子を作る手伝いをしたりと緩やかな適応サポートを。もし不適応傾向が続くようであれば、転園もためらわないでください」(平氏)

我が家の体験談~やってよかったこと~

  • アメリカでは現地のモンテッソーリ式のプリスクールに通わせていて、帰国後も同じ方式の幼稚園に通わせたいと考えていた。そのため帰国半年前から、日本で国際結婚をしている友人などに評判を聞きながら、インターネットや国際電話を使って園探し。おかげで帰国前に目星がつき、最終確認としての体験入園にも、親子共々、安心感を持って臨むことができた。帰国後はなるべく早く通園させてあげたいと思っていたので、早めに幼稚園探しをスタートしておいてよかった。(アメリカに滞在したA・Tさん。お子さんは現地園に通い、5歳で帰国)
  • 夫に帰国の辞令が出たのは、なんと帰国3カ月前。子どもは日本でいうと小学校入学目前の年長の10月から日本で暮らすことに。すぐ日本在住の友人に連絡をして、友人の子どもが通う公立幼稚園に問い合わせをしてもらい、入園許可を取ってもらった。幸運なことに入園料は免除、制服も貸してもらえることに。息子は友人の子が一緒に遊んでくれたこともあり、幼稚園生活を楽しむことができた様子。そのおかげで、小学校という次のステージにスムーズに移行できたと思っている。(イギリスに滞在したN・Nさん。お子さんは現地園に通い、5歳で帰国)

 

お話を伺った方

平彰夫氏

海外子女教育振興財団 教育相談員

平彰夫氏

千葉県の公立小で教頭、校長を歴任。千葉県海外子女教育・国際理解教育研究会副会長、ドイツの日本人学校教頭等も務め、2011年より財団教育相談員。

 

 

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