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帰国までの賢いスケジューリング③ 目的1「子どもを日本にソフトランディングさせたい」

不測の事態で、様々な予定の再調整が必要になることも多い昨今。受けるダメージを最小限にするにはあらかじめスケジュールをイメージしておき、いざというときに調整しなおせる範囲を把握しておくことが得策です。そこで専門家に、スケジュール管理の極意と、帰国を前提とした海外滞在のなかでよく伺う6つの希望を叶えるためのスケジューリングのコツを伺いました。今回は子どもを日本にソフトランディングさせるための賢いスケジューリングです。

スケジューリングの際の3つのポイント

スケジューリングのPOINT 1

「ソフトランディング」を「子どもが、日本での学校生活を自然と楽しめるようになること」と定義。楽しめるようになるために、今、何が必要かを考えて、それを獲得する作業を進めていこう。

スケジューリングのPOINT 2

日本の学校の状況も子どもの気持ちも数年間でがらりと変わりうるため、準備は「何年もかけて漫然と」行うよりも、「1年ほどの期間で意識的に」進めるほうが効果的。

スケジューリングのPOINT 3

まずは現地での生活をしっかり楽しませること。そのうえで、帰国3カ月ほど前から現地で出会った人や使ったモノとのお別れをしっかりさせる。

まとめ

「ソフトランディング」とひと口に言ってもそれに当てはまる場面は様々だが、今回は学校生活に焦点を当てる。子どもの帰国後の不安は、親子共々、家庭生活や日常生活よりも学校生活にあるケースが多いからだ。臨床心理士の中里文子氏によると、この目的を叶える準備は、「帰国前1年ほどの短期決戦」にするのが望ましいという。

「海外赴任の場合は数年で日本に帰るのが既定路線のため、渡航してすぐに、子どもに日本への帰国を意識させ始める保護者の方もいらっしゃいますが、これは逆効果。まずは現地の生活を十分に味わわせ、『自分はどこででも楽しめる』という自信をつけさせるのが第一です。その上で、帰国の1年ほど前から帰国後に通う学校を探し、思い出を形に残し、人やモノとの別れと適切に対峙するよう導きましょう」(中里氏)

 

●理想のスケジュール例

【滞在中ずっと】現地での生活を楽しませる、写真に収める

現地の生活を満喫させて、『自分はどこででも楽しめる』という自信を高めさせることがソフトランディングの第一歩。そして、日々の些細な場面を写真に収めることも大事だと中里氏は話す。「帰国後にホームシックならぬ現地シックに陥った際、助けてくれるのは、写真などの現地での思い出。『思い出にしっかり浸ること』は気持ちの切り替えに作用します」(中里氏)

【帰国1年前】子どもの気質に合う学校を探し始める

帰国後に通う学校選びをする際、心理学的に最も重要なのは、校風や学び方が子どもの気質に合うかどうか。「お子さんの気質を客観的に導き出す方法として代表的なものに、ウェクスラー式知能検査という検査があります。子どもの得手不得手、思考の特徴などが示される検査で、学校選びや将来の進路選択の指標として役立ちます。1万円前後の費用がかかりますが、一時帰国などの機会に受けさせてみるのもいいと思います(※)」(中里氏)

【帰国決定後】帰国をポジティブに考えられる言葉がけ

期待感のこめられた言葉は、子どもの安心材料になる。「お子さんが就学前なら『○○ちゃんは4月から日本の小学校の1年生になるんだよ。好きな色のランドセルを買ったりして、一緒に準備しようね』、小学生なら『こっちの学校は楽しかったよね。今度の新しい学校ではどんなスポーツに挑戦できるかな、楽しみだよね』といった言葉がけを。中学生や高校生であれば、日本の生活スタイルや入学・編入する学校の特徴などについて十分に情報収集し、具体的に情報提供していくことで、お子さんが自ら期待を抱くようになります」(中里氏)

【帰国3カ月前】撮りためた写真をアルバムにまとめる

帰国後、いつでも過去の思い出に浸ることができるよう、アルバム作りを。「特に思い出深い写真をピックアップして、アルバムに入れてあげるといいでしょう。親子でアルバム作りをするのもいいと思います」(中里氏)。最近では簡単にアルバム作りのできるアプリも増えてきているため、そういったものを利用するのもいい。

【帰国1カ月前】現地で使ったモノの仕分けを行う

帰国が間近に迫った時期には、新たな生活に気持ちを向かわせていくことが大切。「そのために有効なのは、現地で使った教科書、おもちゃなどを『日本に持って帰るもの』『友だちにあげるもの』『処分するもの』に分類することです。一つひとつ仕分けることで、現地の生活との別れを心が受け入れ始め、気持ちが次の生活のほうを向くのです」(中里氏)

【帰国1カ月前】現地の友人とのお別れパーティ、連絡先交換

モノの整理と同じ理由で、お別れパーティや連絡先交換も欠かせない。「帰国後も現地の友人たちが支えになってくれるという安心感があると、新しい環境に挑む気力も湧いてきます」(中里氏)。また上記のほとんどは保護者自身にも言えること。子どもだけでなく、保護者自身もこうしたことを意識して行うようにしてほしい。

 

我が家の体験談やってよかったこと

帰国1カ月前には息子が日本にいたときに所属していたサッカーチームのコーチに連絡を取り、帰国後すぐにチームに合流できるよう段取りした。(中国に滞在したY・Sさん。お子さんはインターに通い、小5で帰国)

帰国してから学校が始まるまでの2カ月間、日本を拒絶する娘の心をほぐすために、日本ならではの体験型の施設やイベント(和菓子作り、ガラス細工作り、夏祭りなど)にたくさん連れて行った。帰国直前にそのリサーチをしていたのでスムーズに行動に移せた。(中国に滞在したY・Sさん。お子さんはインターに通い、小3で帰国)

アンケート協力

共に海外在住経験のある母親たちのボランティア団体。

フレンズ帰国生母の会(東京)

海外赴任アドバイス、帰国子女入試・編入のことなど、海外生活と教育の相談を中心に活動。
http://fkikoku.sun.bindcloud.jp/

関西帰国生親の会かけはし(大阪)

渡航前から帰国後まで、教育情報を提供。関西の学校を取材し、帰国生の学校選びをサポートする。
http://www.ne.jp/asahi/kakehashi/kikoku/

 

お話を伺った方

臨床心理士

中里文子氏

AGカウンセリングオフィス代表、NPO法人こころんプロジェクト理事長。教育・子育て相談、駐在員家族を対象にした心理カウンセリングなどを行う。
https://agc-office.com

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