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働くことに意欲的なのは日米中韓、どの高校生?(前編)

青少年への教育に関する調査研究などを行う国立青少年教育振興機構は、2022年9月~2023年2月にかけて、日本・米国・中国・韓国の高校生を対象として、進路と職業意識に関する国際比較調査を行った。大学生ほど「働く」ということに関して差し迫って考えていないかもしれない高校生。どの国の高校生の職業意識も似たり寄ったりなのか? はたまたお国柄による差異はあるのか? 今日と明日とで見ていこう。

※出典:国立青少年教育振興機構調査報告書「高校生の進路と職業意識に関する調査報告書-日本・米国・中国・韓国の比較-」令和5年6月発行(グラフは報告書をもとに当編集部で作成)

日本の高校生「仕事=義務」と捉え、「楽しい」も最少

「仕事」「働くこと」のイメージを問うと、日本の高校生は「生活のため」「社会人としての義務」と捉えている割合が米中韓に比べ著しく高かった。

米国の高校生は「楽しい」「やりがいがある」というイメージを強く持っており、中国では「苦しい」のイメージを抱く高校生が多いが、「やりがいがある」というイメージも強く持っている。韓国の高校生は、「生活のため」のイメージが日本に次いで強いが、「楽しい」というイメージが米国に次いで多い。

日本の高校生、「安定性」を重視し、「社会的地位」への関心は低い

職業を選ぶにあたって重視することを問うと、日本の高校生は「仕事の環境」「安定性」「自分の興味や好みに合っている」が「とても重要」だと回答した割合が4カ国の中で最も高かった。

一方、「社会的地位」を重視する割合は1割強にとどまり、4カ国の中で最低。また、「チャレンジできること」「仕事の内容や仕方が自分で決められる」も3割未満。日本の高校生は将来の仕事に環境や安定性を強く求め、社会的地位やチャレンジできること、自己決定権に対する期待が低いことが見て取れる。

米国、収入・安定性・福利厚生を重視

米国は「収入」が「とても重要」と回答した割合が66.6%とトップで、4カ国の中で最高。2位の「安定性」は日本と並んで高いほかに、「勤務先の福利厚生」も6割弱と、日・中・韓に比べて著しく高くなっている。

中国、社会的地位や自己決定権を期待

中国では「安定性」と「収入」が上位となっているが、いずれも5割強にとどまっており、日・米を大きく下回っている。一方、「社会的地位」の割合は他の3カ国より著しく高い。また、「社会や人のために役立ち、貢献できること」「勤務地の場所・所在地」「仕事の内容や仕方が自分で決められる」「チャレンジできること」も4カ国中最も高い。中国の高校生は、社会的地位や自己決定権を強く期待していることがわかる。

韓国、突出した項目ないが、社会的地位は比較的重視

韓国では、各項目とも「とても重要」と回答した割合は低く、特に「仕事の環境」「安定性」「自分の興味や好みに合っていること」「収入」「能力の発揮」「社会や人のために役立ち、貢献できること」では日・米・中の3カ国と大差で低かった。ただ「社会的地位」だけは中国に次いで高くなっている。

明日も調査結果の続きを見ていこう。
(取材・文/大友康子)