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帰国後、我が子を私立・国立付属小学校に編入させるには~第二回~

現在、海外に住んでいて就学前や小学生の子どもをもつ保護者の中には、帰国後、公立の小学校ではなく、私立や国立大学付属の小学校に通わせたいと考える人もいるだろう。

だが、小学1年生での入学試験は、帰国時期とタイミングを合わせるのは難しいうえ、海外から帰国した子ども(以下、帰国生)向けの入試を行う小学校自体が非常に少ない。それでは、いずれかの学年で入学する「編入試験」はどうなのだろうか。

第一回に引き続き、お話をうかがったのは、海外・帰国子女教育専門機関JOBAを運営する株式会社アイウェア取締役の佐藤光洋氏。今回(最終回)は、私立・国立大学付属の小学校編入を目指すときの留意点と、試験に向けて親子で準備できることについてレポートする。

編入試験を受けるべきか。まず、家族で話し合いを

帰国後、子どもが通う小学校を決める際には、公立校のほかに、私立校、国立付属校といった選択肢があることを理解し、学校ごとの特色や教育内容などの情報を親子で共有することは不可欠だ。では、編入試験の受験を考えている場合、学校選びのポイントになるのは、何だろうか。

「まず、小学生のお子さんが無理なく通学できる場所に、希望する学校かあるかどうかが大前提となります。そして、その特色や教育内容はもちろん、帰国生に対してどのような対応をしているかも調べておく必要があります。一般の児童と同じ扱いをする学校もあれば、国語や社会科の補講授業を行うなど、帰国生の学習をサポートしてくれる学校もあります。

大切なのは、こうした学校の特色を把握し、家庭での教育方針と照らし合わせたうえで、『なぜ、子どもをその学校に入学させたいのか』をよく考え、編入試験を受けるかどうかを決めることです。

編入した小学校が大学などの付属校であれば、お子さんは中学・高校と長い期間を過ごすことになります。子どもの性格や志向に合っているかどうかや、子ども自身がどんな学校に行きたいかなど、お子さんも交えた家族での話し合いは不可欠でしょう」(佐藤氏)

試験の時期や詳細はホームページか、直接、問い合わせて確認を

編入試験を受けることが決まったら、海外滞在中に始められるのは、編入試験に関する情報収集だ。帰国生入試実施校を網羅した情報誌を取り寄せたり、各学校のホームページをみて、編入試験について調べておきたい。

各校のホームページをみると、学校によって編入試験の掲載方法はさまざま。『入学案内』や『児童の募集』といった見出しを立て、そのなかで、入学試験(1年生入学)とは別枠で、帰国生の編入試験を告知する学校もあれば、トップ画面に『国際学級編入案内』といった名称でわかりやすく表示し、試験情報を案内している学校もある。

ただし、欠員が生じた場合のみ、その対象学年を募集するという学校も多いので、時期によっては、編入試験の情報が掲載されていないこともある。興味のある学校があれば、ホームページをこまめにチェックするか、直接、問い合わせをすることも必要だ。学校によっては、問い合わせがあった編入希望者に対し、欠員が生じたときに連絡をするという手段をとっているところもある。

試験勉強は、海外滞在中から。国語・算数の自己学習は必須

私立小や国立大学付属小の編入試験では、大半が国語・算数の筆記試験を課している。試験の内容を公表している学校はまれだが、基本的にはその学校で学んでいる一般の児童と同等の学力が求められると考えてよいだろう。

「海外滞在中の国語・算数の学習は、帰国後、公立小に編入する際にも必要ですが、私立や国立付属小への編入を考えているなら、さらに徹底した勉強は不可欠です。私立小などは、公立小に比べて学習進度がはやいことが多く、編入後はその学校で1年生の時から学んできた児童と一緒に、授業を受けることになるわけです。

希望する小学校のレベルなどを考えれば、補習校などでの学習にくわえ、通信教育や個別指導などを利用した自宅学習は欠かせないでしょう」(佐藤氏)

編入試験では、国語や算数の筆記試験のほか、親子面接(または保護者のみ)や作文を課す学校も少なくない。

「面接では当然、海外での生活について聞かれるため、親子で話をしながら、お子さんに考えをまとめさせることも必要です。作文のテーマとして出されることもありますから、海外での思い出や海外生活で苦労したこと、自分が住んでいた国と日本とのちがいなどについて、文章を書かせてみるのもよいでしょう」(佐藤氏)

英語については、国際コースや英語イマージョンクラスなどを設置する学校では、英語の筆記試験や英語での作文を課すケースもある。インターナショナルスクール(以下、インター)や現地校に通っていた子どもなら、「英語力は大丈夫だろう」と考えがちだが、日本の学校の試験で求められる英語力をきちんと把握すべきだという。

「海外での学校生活を通じて、先生や友達と英語でコミュニケーションがとれるようになったからといって、文法やボキャブラリーがきちんと身に付いているとは限りません。

現地校やインターの先生たちは、その国では外国人である日本人の子どもが、他国の言葉で自分の考えを述べたり、書いたりできれば、とにかくほめるわけです。レポートでも、子ども自身の主張がきちんと書いてあれば、多少の文法やスペル間違いには目をつぶり、‟Excellent‟をくれるものなのです。

実はこうした体験から、『自分は英語が得意で、英語の作文も問題ない』と過信してしまう帰国生は少なくないのです。そのため、お子さんに海外の学校で書いた英語のレポートと、日本での試験で課される英語の作文とは別物ということを自覚させるため、先生にお願いするなどして、英語の作文をきちんとチェックしてもらうことも必要でしょう」(佐藤氏)

日本の環境に慣れることが第一。公立小から中学の帰国生入試という道も

帰国後、子どもたちが日本での生活に慣れる時間があまりないまま、新しい学校に通うことになる。これは、編入先が私立や国立付属校であっても、公立校であっても同じこと。新しい体験の連続に、ストレスを感じることもあるだろう。こうした子どもたちをサポートする上で、大切なのは子どもの目線に立つことだという。

「帰国する年齢やお子さんの性格などによっては、公立校がよい場合もあります。公立校のメリットは、家の近くに住む子どもたちと一緒に過ごす機会が多いので、日本での生活になじみやすいこと。そして、何よりも余裕をもって日本での学習に慣れることができます。

例えば、5、6年生で帰国する場合は、公立小に編入して学習力を高めながら、すぐ先の中学受験を目指すことができます。中学受験であれば、帰国生入試を実施する学校は多いですし、帰国生入試に加えて一般入試も受験できるので、選択の幅は広がります。また、入試で英語の試験を課す学校も多いため、英語力は武器になるでしょう。

どの進路を選んだにせよ、学校に通い始めてから気づくことは多いもの。教育内容をはじめ、先生やクラスメートとの関係など、期待通りにはいかないこともあるのです。子どもの成長を長いスパンでとらえ、視野を広げて将来を考えることも必要でしょう」(佐藤氏)

子どもにとってより良い環境をみつけ、希望する進路に向けてサポートするのは保護者の役割。日本帰国は、子どもと向き合い、家庭の教育方針をみつめなおすチャンスでもある。家族全員で話し合い、一丸となることが、前向きな一歩につながるだろう。

*付属/附属の表記について:学校名は各学校の表記とし、本文は「付属」で統一しています。

(取材・文/橘晶子)

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