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「ゲームってどんな人がつくっているの?」ソニーが教育イベントを実施(前編)

PlayStation®に関わる社員が子どもたちへ語る

多くの子どもたちが大好きなもの、それはゲーム。「どうやって作っているの?」「将来ゲームを作ってみたい」と、その裏側に興味を持っている子どもたちも多いことだろう。そんな子どもたちに向けて、先月27日、PlayStation®に関わる社員がゲームの仕事について話をするトークイベント「ゲームってどんな人がつくっているの? PlayStation®の人に聞いてみよう!」がオンラインにて開催された。トークイベントは、ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)と、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの共催で、2020年より開始した教育プログラム「CurioStep with Sony(キュリオステップ)」による夏の大型イベント「CurioStepサマーチャレンジ2022」の一環として実施。現在もアーカイブ視聴できるが、その模様と、主催者の思いを紹介したい。

機種の設計、ゲームソフトの開発、マーケティング、多様な仕事を紹介

トークイベントでは、ゲーム機の設計に関わる土田真也(ツチダ・シンヤ)氏、ゲームソフトの制作に携わるドゥセ・ニコラ氏、マーケティングに携わる寺本亜紀子(テラモト・アキコ)の3名が登壇。最新機種であるPlayStation®5(PS5)を前に、設計に携わる土田氏が、熱がこもらないように計算された風の通り道や、ゲームの内容によって押しごたえが変わるコントローラーのボタンなどPS5へのこだわりについて詳しく紹介。また、PS5の特徴をより深く理解するため、PS5を実際に起動して、「ASTRO’s PLAYROOM」というゲームに挑戦。土田氏の解説のもと、手に伝わるリアルな振動や、タッチパッドをなぞった指の動きが線になって画面に反映される機能など、コントローラーの多様な機能を紹介した。

次に、「ASTRO’s PLAYROOM」の制作に携わるニコラ氏が、ゲームソフトがどのような過程を経て作られているのかを解説。ニコラ氏は、「ゲームで人をワクワクさせるために大切なのは、小さい子どもからご年配の方まで、老若男女が楽しめるものをつくること。また、ゲームクリエイターは、素晴らしい技術を魔法にかえる仕事である」と語った。

続いて寺本氏が、ゲームをいろいろな人に知ってもらうマーケティングという仕事について、「商品のターゲットを知り、その人がどんな生活をしているか、どのようにして情報の取得をしているのか考えながら、世界中の仲間と共に宣伝をしていく、やりがいの感じられる楽しい仕事です!」と子どもたちに向けて語りかけた。

最後に、登壇者3名から、「ゲームへの情熱があったからこそ今の仕事をしている。初めからどんな道になるかは予想がつかないけれど、自分の夢を信じていればきっとうまくいく」、「少しでも何かに興味が持ったら、調べてみたり、行ってみたり、聞いてみたりしてほしい。そうすると、もっと人生が楽しくなる」と子どもたちにメッセージが送られ、イベントは幕を閉じた。

好きなことに全力で打ち込んでほしい、と伝えたい

視聴者の子どもたちにとっては、普段聞くことのできないリアルなエピソードを聞く貴重な時間だったと思われるが、本誌では今回のイベントの裏側について主催者にも話を聞いた。お答えいただいたのは、ソニーグループ株式会社 サステナビリティ推進部CSRグループ山本理恵子(ヤマモト・リエコ)氏だ。

今回のPlayStation®のトークイベントはどのような経緯で開催に至ったのかというと、
「ソニーの教育プログラム『CurioStep with Sony』は、子どもたちの“好奇心(curiosity)”」が“一歩(step)”ずつ広がり、未来につながっていく、そのステップをサポートしていきたい、という想いで始まったプログラムです。今回のトークイベントは、その夏の大型イベントの1つでした。“ゲームにかかわるお仕事”と聞いて、子どもたちが思い浮かべるのはゲームソフトを考える仕事や、ゲーム機のデザインや開発をするお仕事かもしれません。実際は、それ以外の数多くの仕事を担う人々が協力しあうことで、皆さんの手元にゲームが届き、遊ぶことができます。音楽を考える人、キャラクターを考える人、できあがったゲームをみんなに紹介する人など、さまざまな人たちが関わり合っています。子どもたちには、今回のイベントを通じて、“ゲームにかかわるお仕事”の多様性を知ってほしいということに加え、自分の得意なことや、好きなことを活かして、“ゲームにかかわるお仕事”に携わることができる可能性があること、そのために、自分の興味のあることや好きなことに全力で打ち込んでほしい、ということを伝えたいと思いました」と山本氏は話す。

子どもの頃に夢中になったことは無駄にならない

イベントの最中には、登壇者が子どもの頃に好きだったことや学生の頃に学んだものを話すシーンもあったが、「子どものころからのゲーム好きは全員共通ですが、本や漫画を読むことが大好きで、自分でも文章を書いたり絵を描いたりすることが得意になり、何かを表現し伝える仕事ということでマーケティングを選んだ者や、車が好きで自動車の設計を専攻していたけれど就職活動の際にゲーム設計の仕事と出会い今の会社に就職した者など、経緯もさまざまです。そのことから、各登壇者ともに必ずしもゲーム一色の過去ではないことが分かっていただけたと思います。ゲームソフトの開発では、大自然の中で遊び育った経験なども多いに活かされているとのことで、子どもの頃に夢中になったどのような経験も決して無駄にならず、将来の仕事で活きることを、子どもたちに伝えることができたかと思います」と山本氏は続ける。

実際に、イベント終了後の参加者アンケートでは、「ゲームを作っている人といっても、たくさんの仕事を持つ人がいることを知ってワクワクした」「学科選択で迷うことがありますが、学びたいものを学んでいいんだな、と思えました」などのコメントが届いたそうで、「参加者にメッセージが届いたことを感じました」と手ごたえを感じているという。(明日掲載の後編に続く)

(取材・文/中山恵子)