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生成AI時代のグローバルスタンダード教育とは?(前編)

世界中の子どもから「知的なわくわく」を引き出すための教材やコンテンツを開発・運営するワンダーファイは、フランスのエグゼクティブ国際研修団(フランスで家庭的保育および幼児教育事業を展開する15社の経営者)が来日するにあたり、日本の幼児教育教材開発のパイオニアとして視察訪問を受け入れ、2023年5月18日に、日仏の幼児教育に関する意見交換を行った結果を公開した。

日仏の教育業界経営者が徹底議論!

当日は、G7教育大臣会合「富山・金沢宣言」でも言及されたAI(人工知能)やICT(情報通信技術)の進化に対応した幼児教育の未来や、家庭環境の変化、オンライン化など子どもたちの教育環境の変化について議論が行われた。

また、ワンダーファイが提供する教育サービスであるSTEAM通信教材「ワンダーボックス」と、世界150ヶ国に展開している知育アプリ「シンクシンク」を実際に体験する時間も設けられ、幼児教育の未来に関する有意義な意見交換が行われた。

知識はAIに任せられる。では、意欲と思考力は?

意見交換会はいくつかのテーマに分けて議論されたが、なかでも「生成AI時代」を生きる子どもたちの未来に、どのような学びが必要であり、大人たちはどのような支援を行っていくべきかについて議論が集中した。

フランス代表団からは、家庭的保育および幼児教育業界において、人を派遣することがサービスの重要な位置を占めていることから、生成AIの影響は現時点では感じられないという見解が述べられた。

しかし保護者の感情として、生成AIに批判的な立場を取る場合が多く見られることは日仏で共通していた。参加者の一人は、子どもが生成AIをレポート作成に利用していることを例に挙げ、思考力を奪われる懸念があると述べた。

こうした不安や危惧はあるものの、時代の流れは不可逆的であり、教育業界への影響を止めることはできないという認識は、日本とフランスの両国で一致。

教育者を含む大人の役割について、これまでは「知識を伝えること」だったが、この先はAIが知識の提供を担うならば、大人ができることは「生き方や考え方を教えること」といった意見も交わされ、議論が白熱した。

子どもの「なんで?」を活かす 生成AIとの上手な付き合い方

生成AIの影響を心配する声が多い中、ワンダーファイ代表川島は「AIは思考力を奪うものではなく、むしろ子どもたちの好奇心を満たす役割を果たす可能性がある」と異なる意見を述べた。

例として、好奇心の塊である子どもと向き合う中で、「保護者が子どもたちの質問に一つ一つ答えるのが困難な場合」が挙げられた。そうした質問のやりとりに生成AIを活用できて、その対話がいつでも誠実に好奇心に応えるものになり得るなら、AIと協力することで教育と技術の相乗効果が生まれる可能性があると川島は述べ、自社サービスにも積極的にAIを取り入れていきたいという姿勢を示した。

明日は、意見交換会のテーマでもある「グローバルスタンダード教育」について、日仏の意見を見ていこう。

(取材・文/小野眞由子)