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18歳意識調査(前編)「ネット上で誹謗中傷受けた経験あり」19.5%

ネット上の誹謗中傷の経験はいかに?

公益・福祉事業、国際協力事業を行う日本財団は11月1日、18歳の若者が何を考え、何を思っているのかを継続して調べる「18歳意識調査」の調査結果を公表した。同調査は次代を担う18歳が政治や社会、仕事、家族、友人、恋愛などをどのように考え意識しているか、幅広く知ることで新しい社会づくりに役立てるのが狙い。2018年以降、不定期ながら月1~2回くらいとなかなか頻繁に、世相に応じたテーマで調査を行っている。

9月に行われた第50回の調査テーマは「インターネット利用と侮辱罪」。我が子がネット上で誹謗中傷を受けていたり、逆に他人を誹謗中傷する書き込みをしていたら……、親としては非常に気になるところ。

そこで、まず本日は調査結果の中から誹謗中傷の経験に関する部分から見ていこう。

【第50回18歳意識調査「インターネット利用と侮辱罪」】

調査対象 日本全国の17~19歳男女
回答数 1000人
実施期間 2022年9月22日(木)~9月27日(火)
調査手法 インターネット

「他人に対する誹謗中傷を目にしたことがある」70.6%

「インターネット上の掲示板やSNSなどにおいて、他人の人格、性格、容姿を否定したりするなど、誹謗中傷にあたると思われる事項が書き込まれているのを目にしたことがありますか」という質問に対して、70.6%が「ある」と回答。性別では、女性が男性よりも、「ある」と回答した人の割合が8.4%高かった。

また「自分に対する誹謗中傷を目にしたことがあるか」の問いに「ある」と回答したのは19.5%だった。

質問6:インターネット上の掲示板やSNSなどにおいて、他人の人格、性格、容姿を否定したりするなど、誹謗中傷にあたると思われる事項が書き込まれているのを目にしたことがありますか。(選択式(複数))

「誹謗中傷書き込みの経験あり」18.7%

では反対に、他人の誹謗中傷をネット上に書き込んだ経験のある若者はどのくらいいるのか? 

「誹謗中傷にあたると思われる事項をインターネット上の掲示板やSNSなどにおいて書き込んだり、発信したりした経験はありますか」という質問に対して、「経験がある」と回答した人は全体で18.7%。また「経験がある」と回答した人の半数以上は「その具体的な内容を覚えていない」と回答。性別では、男性の方が女性よりも「経験がある」と回答した人の割合が3.1%高い傾向にあった。

質問8:あなた自身は、誹謗中傷にあたると思われる事項をインターネット上の掲示板やSNSなどにおいて書き込んだり、発信したりした経験はありますか。(選択式(単一))

本年6月の改正刑法で侮辱罪が厳罰化

2022年6月13日には改正刑法が成立し、インターネット上などの誹謗中傷を抑止するとともに、悪質な侮辱行為に対処するために、侮辱罪の厳罰化が盛り込まれた。また、刑事責任が問えなくなる公訴時効期間も1年から3年に延びたことで、匿名投稿のために発信者の特定に時間がかかったとしても、立件までの余裕が生まれることとなった。それにより、誹謗中傷が減少することを望みたい。

「誹謗中傷のシェア・リツイート経験あり」14.3%

「他人が発信した誹謗中傷にあたると思われる書き込みや投稿をインターネット上の掲示板やSNSなどにおいてシェア・リツイートした経験はありますか」という質問に対しては、「経験がある」と回答した人は全体で14.3%。そして「経験がある」と回答した人の半数以上はその具体的な内容を覚えていなかった。性別では、男性の方が女性よりも「経験がある」と回答した人の割合が5.8%高い傾向にあった。

質問9:あなた自身は、他人が発信した誹謗中傷にあたると思われる書き込みや投稿をインターネット上の掲示板やSNSなどにおいてシェア・リツイートした経験はありますか。(選択式(単一))

シェアやリツイートは誹謗中傷を書き込むこと以上に、より気軽に行ってしまうのだろうが、これにも侮辱罪が適応されている。実際、10月には誹謗中傷を含んだ他者の発言に向けて「いいね」をした人物に対して、東京高等裁判所が損害賠償を命じた、というケースもある。

では、自分がSNS上で誹謗中傷を受けた場合に、どのように対処したらいいのだろうか? 明日は、そういった対策を若者がどの程度知っているかについての調査結果を見てみよう。

(取材・文/大友康子)