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インターナショナルスクールのクラブ活動事情

日本の中学校や高校では、部活動が盛んです。参加は生徒の自主性の任されていますが、その比重が大きい学校もあります。ところで、日本にあるインターナショナルスクールにもこのようなクラブ活動はあるのでしょうか。3校(*)のインターナショナルスクールに話を聞きました。

学期毎に好きなクラブに参加するスタイルが多い

 インターナショナルスクールにも放課後にクラブ活動があるところは多い。ただ、それらの在り方や活動内容は日本の学校とは大きく違っている。

まずは呼び名。「After SchoolProgram(AOBA)」や「SABERS(=24ある運動部全体のチーム名。OIS)」、「Dolphin Sports(=運動部。NIS)、「Club Activities(= 文化部。NIS)」など、各校で様々な名称で呼ばれている。

 内容も各校でバラエティに富んでおり、コーディングレゴやロボティクス(AOBA)、クロスカントリーやT E D の学生版で収録したトークを学校の公式YouTubeにて公開するTED-EdClub(NIS)、英語でディベートしたりエッセイを書いたりするクラブやLGBTQなどの啓蒙活動をするクラブ(OIS)など、日本の学校ではなかなか体験できないような珍しいものも多数ある。

 また「1つの部活動をじっくりと」というスタイルが主流の日本の学校とは異なり、インターナショナルスクールでのクラブは個人が少しでも興味を持ったものに少しずつトライできるような環境を整えているケースがほとんど。「自分には何が向いているのか」「自分は何に情熱を注げるのか」ということを知るための1つとしてクラブ活動が位置付けられているのだ。

 今回お話を伺った3校はいずれも運動系クラブは学期ごとのシーズン制で、生徒はその都度、自分が入りたいクラブを決める。「全シーズン参加することも、好きな種目のシーズンだけ参加することもできる」(OIS)など、自由度の高さが強みだ。文化系クラブの場合は通年で週1~2日の活動が多いため、異なる文化系クラブに複数参加したり、あるいは運動系クラブとの掛け持ちをする生徒も少なくない。また、特に文化系クラブでは、生徒たちがやってみたいことがあれば生徒主導で新たにクラブを立ち上げるケースも多いという。

 さらに幼稚園や小学部がある学校では、AOBAの「マルチスポーツ」「Music for fun」というクラブのように、園児や小学校1年生からでも参加できる“入門編”のような活動があるのも新鮮だ。

コロナ禍での活動状況は?

 日本の学校の部活動とはシステムが異なるインターナショナルスクールのクラブ活動だが、学校同士の対外試合や複数校を集めた大会などはどのように行っているのだろうか(2022年2月時点)?

 3校とも主にインターナショナルスクール同士でリーグ戦や交流試合などを行っており、遠征旅行などもあるという。ただし、コロナ禍になって以降は他校との試合の多くが中止になっており、「生徒のモチベーションを保つために、校内で男女対抗戦や教員チームとの対抗戦を行っている」(NIS)というところも。コロナ禍でのクラブ活動の制約は、インターナショナルスクールも日本の学校も同じ状況だ。

各校からいくつかのクラブ活動を紹介する。

文科系

ロボティクス(AOBA)

ロボティクス(AOBA)

4年生(G4)以上の男女が対象で、活動は週1回。ロボティクス・キットやラジコンを使い、ロボットを組み立てたり動かしたりしながら、ロボティクス(ロボット工学)の基礎を学ぶ。子どもたちが自身の創造力を楽しく伸ばすことができるのも魅力。

Team Science(OIS)

Team Science(OIS)

ロボット、プログラミング、生物部門など、部門別に分かれて研究を行う自然科学系のクラブ。活動は週2回。ロボット部は毎年、創造アイデアロボットコンテスト大阪市中学生大会兼近畿大会に出場。2019年(第19回)は近畿大会で優勝(写真)、全国大会に出場した。

PLAN NIS(NIS)

PLAN NIS(NIS)

高校生が小学生のチューターをして、1時間1,000円の収益を国際NGOプラン・インターナショナルに寄付する。保護者の依頼に基づき、科目や曜日などの条件の合う高校生が小学生に勉強を教える。活動は放課後随時。生徒だけでなく保護者にも好評。

運動系

サッカー部(AOBA)

サッカー部(AOBA)

5年生(G5)以上の男子クラスで、週2回活動。地元サッカーリーグにも所属する人気のクラブ。キャンパス内にある全面人工芝のフルサッカーコートで練習。コロナ渦で試合回数は減ったものの、2021年度には他インター校や地元サッカークラブとの交流試合を行った。

SABERS(OIS)

SABERS(OIS)

バスケットボール、サッカー、野球、水泳など24の運動部のチーム名。一条校の関西学院千里国際の生徒と一緒に活動。練習は、中等部も高等部も週2回。西日本にあるインターと土曜日に試合を行い、シーズン末に大会を実施。
※コロナ禍で全大会が中止。

バレーボール部(NIS)

バレーボール部(NIS)

男女ともに長年にわたり顧問を務めている名物コーチがいて、人気の高いクラブ。練習は週2~3回。インターのリーグでは対外試合があり、遠征旅行を楽しみにしている生徒も多い。写真は、生徒チームと教師チームで対抗試合を行ったときのもの(写真)。

※…制作協力(五十音順)/AOBA-JAPAN INTERNATIONAL SCHOOL(以下、AOBA),Osaka International School of Kwansei Gakuin(以下、OIS),Nagoya International Schoo(l 以下、NIS).