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地域の企業を訪問し、ひつじの毛刈りを体験|国際高等専門学校

<第4回>白山麓キャンパス・レポート
Welcome to Hakusanroku!:地域の農業生産関連企業でひつじの毛刈りを体験

国際高等専門学校(International College of Technology, Kanazawa 以下、国際高専)は、英語で学ぶ工学基礎を重視したSTEM教育を行う新しい高等教育機関です。国際高専のウェブサイトでは、キャンパスの今を伝える「白山麓ジャーナル」を英語と日本語で随時配信しています。

この「白山麓ジャーナル」から、トピックスをピックアップして紹介する連載企画の第4回目は、学生たちが白山麓地域で農業生産などを手掛ける企業を訪問し、ひつじの毛刈りを行った体験をレポートします。

地域の企業経営者から新規事業のアイデアや計画を学ぶ

6月上旬、「エンジニアリングデザインIIA」の授業の一環として、アグリビジネス班の2年生4名が、地域で農業生産関連の事業を展開する企業を訪問し、ひつじの毛刈り体験を行いました。

エンジニアリングデザインは、地域社会や身の回りにある様々な課題を発見し、解決に向けてチャレンジする問題解決型の授業です。アグリビジネス班は、白山麓キャンパスの前にある休耕田を使用して、さつまいもの一品種・べにはるかを栽培し、“高専べにはるか”を生産・販売するプロジェクトを進めています。そこで、地域で新規事業を立ち上げた経営者から経営のノウハウを学ぼうと、企業訪問が企画されました。

今回、学生たちが訪問し、ひつじの毛刈り体験を行ったのは、白山麓キャンパスから近い木滑地区にある山立会という企業です。同社は豊かな自然や食・生活文化が残る里山で、農業生産や新商品の開発、野生動物調査などを手掛けています。

ラム肉を生産する事業には、同社ならではのこだわりがあり、健康的なひつじをのびのびと飼育することを目的に、“アニマルウェルフェア(動物福祉)”に配慮し、夏場は基本的にひつじの放牧を行っています。

 
毛刈り前準備

この山立会のひつじ事業は、石川県立大学の石田名誉教授の「耕作放棄地放牧で生産されたラム肉の地産地消による地域活性化の課題研究」を引き継ぐ形でスタートしました。

山立会代表の有本勲氏は、国際高専の学生たちに向けて、ひつじの出産から出荷までの飼育の年間スケジュールをはじめ、5年後の収益目標を視野にいれた長期計画、計画の実現に必要な畜舎や機械などの設備などについて詳しく解説。資金調達のために行ったクラウドファンディングや補助金の申請、付加価値によるラム肉の単価アップなどについても説明し、「観光客を対象としたひつじの餌やりや毛刈り体験を実施するほか、BBQ用ラム肉販売によって白山麓地域の観光業を盛り上げていきたい」と、抱負を語りました。

学生たちは、課題を乗り越えながら新たなチャレンジを続ける有本氏の話に聞き入り、熱心にメモをとっていました。

熱心にメモ

地域に根差した事業アイデアに共感。羊の毛刈り体験には大苦戦!?

「有本さんのレクチャーで一番印象に残ったのは、『なぜ山立会で羊を飼おうと思ったのか』という話でした。私は16年間、石川県で暮らしていますが、これまで石川の魅力を感じたことはなかったし、『どうすれば石川県を一つのブランドとして、成長させられるか』ということも考えたことがありませんでした」。こう語るのは、国際理工学科2年の山﨑史依さんです。

有本氏は白山麓地域について、「特産の肉がない」、「昼間に遊べる場所がない」、「獣害や雪の影響が少ない」と分析。こうした背景からラム肉に可能性があると感じ、事業化に踏み切ったといいます。

「有本さんの事業は、これまで石川県がやってきた、すでにある名産品や伝統などのアピールとは異なり、県外の観光客も共感できる新しいアイデアを具現化したものだと思い、とても感動しました。また、『ブランド化するには、アニマルウェルフェアといったステータスだけでなく、デザインやロゴ、コンセプトも重要である』という有本さんの説明にも共感できました」(山崎さん)。

 

羊の毛刈り1

羊の毛刈22

日に日に白山麓の気温が上がってくるこの季節。放牧を前に、冬を越したひつじたちのもこもこした毛を刈りとってやる必要があります。

実際、毛刈りを体験した学生たちは「見ているだけだと簡単そうでしたが、バリカンが重いうえに、バリカンを持つ手に振動が伝わってきて難しかった」、「何度もトライして、するすると毛が刈れたときは気持ちよかった」、「羊に対する愛情が生まれました。また、機会があれば挑戦したい」と語っていました。

サイエンスや数学は世界共通。だからこそ英語で学ぶ

国際高専は、国内外から幅広く学生が集まるグローバルな環境で、刺激を受け合いながら、共に成長できる教育環境を整えています。プロトタイプを作りながら解決策を考えていく「エンジニアリングデザイン」の授業では、国連・SDGsの17の目標を念頭におきながら、地域の課題にチームで取り組み、サイエンスの知識とテクノロジーを応用しながらイノベーションを創出します。

教育の柱のひとつとして、英語で行う「STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育」を重視しています。それは、科学や数学が世界共通の真理であるため、これらの分野を英語で学ぶことは、のちに留学して専門分野を探究したり、卒業後グローバルな企業で活躍するのに役立つからです。

1、2年生は、自然豊かな白山麓キャンパスにある全寮制スクールで、英語で数学、理科、情報を学ぶほか、徹底した英語スキルの修得を目指します。3年生は、ニュージーランドの国立オタゴポリテクニクに留学。そして、4、5年生は併設校である金沢工業大学と連携し、分野横断型の研究やプロジェクトに取り組みます。

さらに金沢工業大学 大学院 情報工学専攻まで進学すると、最短2年間で全米ベスト大学の一つ、ロチェスター工科大と金沢工業大の2大学の修士号取得の道もあります。

「国際高等専門学校(5年間))+「金沢工業大学の学部及び大学院(4年間)」の9年一貫教育により、グローバル・イノベーターを育成します。

【学校へのお問合せ】

金沢キャンパス
〒921-8601 石川県金沢市久安2-270
TEL 076-248-1080 FAX 076-248-5548

白山麓キャンパス
〒920-2331 石川県白山市瀬戸辰3-1

国際高専入試センター
Mail:admissions@ict-kanazawa.ac.jp

 

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