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デザインシンキング手法でおもちゃ作りに挑戦|国際高等専門学校

<第11回>白山麓キャンパス・レポート
Welcome to Hakusanroku!:デザインシンキングを重視し、チームで課題に取り組む

国際高等専門学校(International College of Technology, Kanazawa 以下、国際高専)は、英語で学ぶ工学基礎を重視したSTEM教育を行う新しい高等教育機関です。国際高専のウェブサイトでは、キャンパスの今を伝える「白山麓ジャーナル」を英語と日本語で随時配信しています。

この「白山麓ジャーナル」から、トピックスをピックアップして紹介する連載企画の第11回目は、1年生の「エンジニアリングデザイン」の授業で行ったおもちゃ作りについてレポ―トします。

チームで試行錯誤を繰り返し、新しい価値を見い出す

国際高専のエンジニアリングデザイン教育が重視するのは、洞察力や観察力、共感力とともに人に役立つ行動をうながす「着想=インスピレーション」という感性を養うこと。そして、アイデアを創出し(=発想)、さらに形を作り出す(=設計)という『デザインシンキング』の課程です。このデザインシンキングは、ユーザー視点に立った問題解決や新たな価値創出の手法として、ものづくりの現場や多くの企業のビジネスで取り入れられています。

1年生が学ぶ「エンジニアリングデザインIB」は、デザインシンキングの課程をふまえて、学生のチームで思考錯誤を繰り返しながら、新しい価値を生み出す力を身に付けます。

授業ではレゴマインドストーム EV3を使ってプログラミングやセンサの使い方、ロボットの組み立て方などを学びながら、チームで課題発見・解決型の活動に取り組みました。

課題は生物の生態を取り入れたおもちゃ作り

今回のプロジェクトの課題は、人を楽しませたり驚かせたりするような『おもちゃ作り』でした。課題には、おもちゃには動物や植物などの特徴や機能といった『生物が持つ仕組み』を取り入れること、という条件も課されました。

おもちゃユーザーのターゲットは30代以下と40代以上の二つとし、学生たちはこのターゲットの年代別に、2チームに分かれて課題に取り組みました。作品作りに先駆けて、各チームは教員たちに「普段の生活で、どんなことに楽しみや驚きを感じたか」についてインタビューを行いました。

シャチが蹴り上げた魚が鳥に衝突するかも!?
シャチ・ゲーム(ORCA GAME)

30代以下の教員にインタビューを行ったチームは、「競争したり、達成感を感じたり、あることに熱中したりする中で楽しみを感じる」という意見がヒントになりました。そこで、ゴールを競い合い、達成感を味わうことができるボ-ドゲームに着目。夢中になる要素としてサイコロを振る装置を取り入れることにしました。

LEGO EV3で作るサイコロを振る装置は、シャチが水中に泳いでいる魚を尻尾で蹴り上げるように動くことをイメージしてつくりました。

この装置はサイコロの飛距離がランダムに変わるため、サイコロがトークン(コマ)に当たって倒れる可能性があります。これはシャチが蹴り上げて飛ばした魚が鳥に衝突することをイメ―ジしたもの。ゲームのプレイヤーは「自分のコマが落ちてしまうかもしれない!」というヒヤヒヤ感を味わうことができます。

メイプルの葉が美しく舞い落ちる姿に驚嘆
メイプル・ドロップ(Maple Drop)ゲーム

40代以上がターゲットのチームは教員のインタビューから、『自然との関わり』に興味をもつ人が多いことに気づきました。日常生活のなかで『自然』に関するものに触れた時に、「あら?」と思うことがありますよね? このチームは、そんなちょっとした驚きをうながすおもちゃを制作することにしました。

このチームは、玄関にセンサを設置し、人が通ると、葉っぱがヒラヒラと舞い落ちてくる装置をLEGO EV3で制作しました。葉っぱはメイプル種の葉の構造を参考に折り紙で制作し、その美しい様子をみる人が驚くという装置を仕上げました。合計12台の装置を制作しましたが、最終発表では3台しか動作しないという残念な結果となりました。

最終発表ではトラブルも発生
チームで壁を乗り越える体験も大きな成果に

両チームとも、授業時間にくわえて放課後も費やし、動作確認やデザインレビューセッションを何度も繰り返しながら改善点を抽出。チームが一丸となって思考錯誤しながら、作品を作り上げました。


最終発表の本番ではトラブルも発生し、学生たちがその対応に追われる場面もありました。とはいえ、学生たちがさまざまな壁を乗り越え、一つの目標に向かって一生懸命に取り組んだ体験からは、大きな成果が得られたと思います。

サイエンスや数学は世界共通。だからこそ英語で学ぶ

グローバルな環境

国際高専は、国内外から幅広く学生が集まるグローバルな環境で、刺激を受け合いながら、共に成長できる教育環境を整えています。プロトタイプを作りながら解決策を考えていく「エンジニアリングデザイン」の授業では、国連・SDGsの17の目標を念頭におきながら、地域の課題にチームで取り組み、サイエンスの知識とテクノロジーを応用しながらイノベーションを創出します。

教育の柱のひとつとして、英語で行う「STEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育」を重視しています。それは、科学や数学が世界共通の真理であるため、これらの分野を英語で学ぶことは、のちに留学して専門分野を探究したり、卒業後グローバルな企業で活躍するのに役立つからです。

1、2年生は、自然豊かな白山麓キャンパスにある全寮制スクールで、英語で数学、理科、情報を学ぶほか、徹底した英語スキルの修得を目指します。3年生は、ニュージーランドの国立オタゴポリテクニクに留学。そして、4、5年生は併設校である金沢工業大学と連携し、分野横断型の研究やプロジェクトに取り組みます。

さらに金沢工業大学 大学院 情報工学専攻まで進学すると、最短2年間で全米ベスト大学の一つ、ロチェスター工科大と金沢工業大の2大学の修士号取得の道もあります。

「国際高等専門学校(5年間)」+「金沢工業大学の学部及び大学院(4年間)」の9年一貫教育により、グローバル・イノベーターを育成します。

【学校へのお問合せ】

金沢キャンパス
〒921-8601 石川県金沢市久安2-270
TEL 076-248-1080 FAX 076-248-5548
白山麓キャンパス
〒920-2331 石川県白山市瀬戸辰3-1
国際高専入試センター
Mail:admissions@ict-kanazawa.ac.jp

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