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私立大学9割がコロナ禍の学生に経済支援実施

奨学金に関する調査内でコロナ禍の大学の現況を調査

昨年、私立大学のほとんどが、コロナ禍における学生に対して何らかの経済支援を行っていたことが、一般社団法人日本私立大学連盟(東京都千代田)による調査(「令和2年度 奨学金等分科会報告書」)から明らかとなった。毎年行われている奨学金等に関する調査だが、令和2年度はコロナ禍における大学の現状についても調査された。

調査結果は3種類で集計。1つは、対象大学(125大学)すべてを一律に集計した「全体集計」。もう1つは、加盟大学を学部学生数別に3つのグループに分類して集計した「グループ別集計」。3つ目は、新型コロナウイルスの拡大レベルにあわせて都道府県を3つの区域に分けた集計だ。

3つの集計の詳細

① 全 体 集 計…調査に参加した日本全国の大学を結果を集約
(加盟大学125校)

グループ集計…加盟大学を学部学生数別に3つのグループに分類

グループ1(学部学生数1万人以上:29大学)(大学名 A B C順)

no 大学名 no 大学名 no 大学名
1 青山学院大学 2 中京大学 3 中央大学
4 大東文化大学 5 同志社大学 6 福岡大学
7 法政大学 8 上智大学 9 関西大学
10 関西学院大学 11 関東学院大学 12 慶應義塾大学
13 國學院大學 14 駒澤大学 15 京都産業大学
16 九州産業大学 17 明治大学 18 明治学院大学
19 日本大学 20 立教大学 21 立正大学
22 立命館大学 23 熊谷大学 24 専修大学
25 東北学院大学 26 東海大学 27 東京農業大学
28 東洋大学 29 早稲田大学

グループ2(学部学生数4000人以上1万人未満:41大学)(大学名 A B C順)

no 大学名 no 大学名 no 大学名
1 愛知大学 2 亜細亜大学 3 跡見学園女子大学
4 文教大学 5 獨協大学 6 同志社女子大学
7 学習院大学 8 白鷗大学 9 阪南大学
10 広島修道大学 11 実践女子大学 12 城西大学
13 城西国際大学 14 順天堂大学 15 甲南大学
16 久留米大学 17 共立女子大学 18 京都橘大学
19 松山大学 20 桃山学院大学 21 武蔵大学
22 武蔵野大学 23 武蔵野美術大学 24 名古屋学院大学
25 南山大学 26 日本女子大学 27 大阪学院大学
28 追手門学院大学 29 立命館アジア太平洋大学 30 流通経済大学
31 成城大学 32 成蹊大学 33 西南学院大学
34 芝浦工業大学 35 昭和女子大学 36 創価大学
37 大正大学 38 拓殖大学 39 東邦大学
40 東京女子大学 41 東京経済大学

グループ3(学部学生数4000人未満:55大学)(大学名 A B C順)

no 大学名 no 大学名 no 大学名
1 梅花女子大学 2 筑紫女学園大学 3 獨協医科大学
4 フェリス女学院大学 5 福岡女学院大学 6 福岡女学院看護大学
7 学習院女子大学 8 姫路獨協大学 9 広島女学院大学
10 兵庫医科大学 11 兵庫医療大学 12 石巻専修大学
13 金沢星稜大学 14 関東学園大学 15 恵泉女学院大学
16 敬和学園大学 17 神戸女学院大学 18 神戸海星女子学院大学
19 皇學館大学 20 国際武道大学 21 国際基督教大学
22 京都精華大学 23 松山東雲女子大学 24 桃山学院教育大学
25 宮城学院女子大学 26 ノートルダム清心女子大学 27 大阪医科大学
28 大阪女学院大学 29 大阪薬科大学 30 大谷大学
31 成城大学 32 成蹊大学 33 西南学院大学
34 流通科学大学 35 西武文理大学 36 聖学院大学
37 仙台白百合女子大学 38 白百合女子大学 39 園田学園女子大学
40 天理大学 41 東北公益文科大学 42 常磐大学
43 東京医療保険大学 44 東京情報大学 45 東京女子医科大学
46 東京歯科大学 47 苫小牧駒澤大学 48 東洋英和女学院大学
49 東洋学園大学 50 豊田工業大学 51 津田塾大学
52 和光大学 53 山梨英和大学 54 四日市大学
55 四日市看護医療大学

新型コロナウィルス拡大レベルに応じた集計 ※Aが最も高い
A区域:東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県
B区域:大阪府・兵庫県・愛知県・福岡県
C区域:その他道府県

昨年春学期は日本全国ほとんどの大学がオンライン授業

まずは、昨年のコロナ禍における講義の状況をみていこう。

昨年の春学期(4~6月)講義実施方式は125校中95校(76%)が「ほぼオンライン」と回答。「ほぼ対面」はわずか1校(0.8%)で、「対面とオンライン併用」等を含めると、ほぼすべての大学がオンラインで講義を実施していた。

大学の数的規模別にみると、第3グループで「対面とオンライン併用で実施」(29%)の割合が高い。大学所在区域別にみると、A区域で「ほぼオンラインで実施」(82%)の割合が高い。


数的規模が大きい大学ほど、オンライン環境整備を支援

そうしたなか、遠隔講義を受ける環境を整えるために学生を支援した大学は111校(88.8%)。講義をほぼオンラインで実施した大学95校のうちでは、89校(93.7%)が何らかの支援を実施していた。

大学の数的規模別にみると、規模が大きいほど支援を行う割合が高い傾向にあった。大学の所在区域別にみると、B区域の支援実施率は100%であった。

支援内容は「オンライン環境整備」「給付金・支援金(一律)」

具体的な支援内容としては、「オンライン環境整備(PC、ルーター等の貸与・支給)が83校(73.5%)ともっとも多く、ついで「給付金・支援金(一律)」が41校(36.3%)だった。

大学の数的規模別にみても、どのグループも「オンライン環境整備(PC、ルーター等の貸与・支給) 」「給付金・支援金(一律)」の順で支援の割合が多い。規模が一番小さい第3グループでは「給付金・支援金(一律)」の割合が低い傾向にあった。

明日も報告書の続きを見ていこう。

(取材・文/大友康子)

出典:一般社団法人日本私立大学連盟刊行「令和2年度奨学金等分科会報告書」