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帰国子女の親必読! キーワードから読み解く日本の教育最新事情⑥|「STEM(ステム)教育」の実施状況と今後の展望

STEM教育 現在の実施状況

小学校

日本全国の都市部にある国立校や私立校には、「STEM」と銘打った研究や授業中の活動を実施する学校が少数ながらある。一方、公立校には、そこまで明確にした活動を行う学校はまだ見られないようだ。ただし、理数系の科目を中心にSTEMの考え方を少しずつ取り入れ始めてはいるという。

「現在は教科や独立した活動としてではなく、理科や算数、プログラミング教育など主に理数系科目の授業のなかに、STEMの要素や概念を取り入れ始めている段階です。そのためロボット作りなどSTEMを直球で学ぶためには、放課後のアフタースクールなど民間の教育サービスを受ける必要があります」(中村氏)

中学校

国・私立と公立の授業内でのSTEM展開の傾向は小学校同様。それでも「全国的に小学校よりは目に見える形でSTEM教育が浸透してきている」と中村氏は言う。

「最近では技術科と理科を組み合わせてSTEM教育を行う公立校も。また、ロボット教材を準備して、生徒にセンサー・モーターの制御をプログラムさせたりする先生も増えています」(中村氏)

高等学校

科学技術関係の人材を育成するために先進的な理数教育を実施する高等学校等を「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」と名づけて、文部科学省が支援事業(SSH支援事業)をスタートさせたのは2002年。当初26校だった指定校は今年度では212校に増えており、それはつまりSTEM教育実施校の増加を意味する。SSHは国公立校が大半を占めているのもポイントだ。このほか私立では、教科横断型授業(数学×物理、化学×世界史など)を行う学校、数学や物理を英語で教える学校、STEM教育を軸として学ぶコースを設ける学校なども増加。こうした流れによって、世界最大の科学コンテストに参加したり賞をとったりする日本人生徒も少しずつ増えてきていて、国際的にも一定の成果が出始めている。

STEM教育 今後の展望

小学校

今年度から全面的に実施される新しい学習指導要領のなかにSTEM教育の概念がまだ乏しいため、浸透にはまだまだ時間がかかるだろう、というのが中村氏の考えだ。ただし、児童への有意義な教育のために、国語、算数、理科、社会、生活、図画工作といった独立した教科がそれぞれの壁を取っ払って、あらゆる側面から教員が知識を与えるようになり、それが結果としてSTEM教育につながるという予想も。

「この流れに伴って教員の役割もアップデートされていくでしょう。子どもたちにまずはしっかり知識を与えて、あとはどう活かしてもらうか。一人ひとりの活かし方に主眼を置く授業が増えていくはずです。そして学びは今、『学力や受験攻略を目的にしたもの』ではなく『自分が創りたいものを創るためのもの』『自分なりに答えを見出していくためのもの』である、というように発想の転換が進むべきと思います」(中村氏)

中学校

「来年2021年度からのプログラミング教育の必修化によって、理数系の重要度が飛躍的に増すはずで、それに従ってSTEM教育を実施しようとする学校が増えていくことが見込まれます。STEM教育を行う上での学校のICT環境としてはパソコンやネットワーク環境の導入・整備、ロボット教材の導入などが進んでいくでしょう」(中村氏)

高等学校

再来年2022年度から実施される新しい学習指導要領では、SSH支援事業での取り組みを参考に、理数系で〝探究〟をテーマに掲げた新しい科目「理数探究基礎」「理数探究」の2つが登場。さらに全員必修の「情報Ⅰ」と選択科目の「情報Ⅱ」にプログラミングが含まれるようになるという。

「新しい学習指導要領には、STEM教育の概念が組み込まれているということでしょう。それを機に、成長と貢献を感じながら何かを創り出す人が、日本にもどんどん増えたらと思います」(中村氏)

お話を伺った方

中村 一彰氏

中村 一彰氏 日本初のSTEM教育スクールを創設

小学生にSTEM教育を行うスクール『ステモン』主宰。元小金井市立前原小学校理科専科教員。プログラミング教育推進事業者として、東京都の公立小・中学校をけん引する。

イラスト/茂苅恵

 

 

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