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ネイティブ先生が答える帰国子女教育③|ホリスティック教育って何? 最終回(計3回)

日本への帰国を前提とした海外での暮らしの中で、子どもの教育に疑問や悩みを持っている保護者も少なくないようです。そこで、海外に住む保護者からの様々な質問に、帰国子女対象の英語塾「帰国子女アカデミー」の英語ネイティブの先生が答えてくれました。

ホリスティック教育の日本での注目度と今後

さて、前々回前回の計3回にわたって、「ホリスティック教育とは何か」、「実際にどんな授業をしているのか」ということをお伝えしてきましたが、最終回となる今回は、私が長年様々な教育現場を観察してきて感じることをお伝えします。

私は、教師として親としても日本の教育現場を見てきましたが、その経験に基づくと、世に出ている日本の教育システムを批判する書籍はあまり正確ではないと感じています。なぜなら日本国内の素晴らしい学校で働いた経験もありますし、自分の子どもたちが通う小学校では作物の田植えなどの食育を通じ、地域や自然との関係性をちゃんと教えてくれるからです。日本の幼稚園や保育園でも、モンテッソーリ教育やシュタイナー教育を意識し、ホリスティックな環境にしているところが数多くあります。

日本の教育でもったいないと感じるのは、中学や高校の授業。その多くが講義形式で、生徒と先生、生徒間での対話がほとんどないことです。これでは、生徒の大半が集中力を切らし、授業を受ける意味を見いだせません。

しかし近年、多くの中学や高校がこうした事態改善に向けて動き始めています。特に力を入れているのは、帰国子女を積極的に受け入れている学校です。英語の授業では研究課題を出し、ディベートやディスカッションで生徒間の対話を促し、批判的思考や創造力を養うためにライティングをさせています。

ホリスティック教育を受けた生徒たちは非常に優秀です。事実、「国際学力調査」では、この教育を受けた生徒は理系科目が大変得意でした。生徒間の関係性が良好だと創造力や芸術的才能が伸びるという結果も出ています。多くの生徒が、医者や教師、エンジニア、科学者や学者になっている事実もあります。

またこの教育を受けた生徒は、学びに意欲的で、病気になる可能性も低いというアメリカでの研究結果もあります。幸せで健康な大人に育てるためには、自信と学ぶ意欲を持たせることが大事です。そのためにも、日本の学校が今後ますますホリスティック教育を導入していくことを、切に望みます。

お話を伺った方

帰国子女アカデミー
チャールズ ・エム・ カヌーセン Charles M. Knudsen氏
帰国生向け英語塾『帰国子女アカデミー』校長

同塾創設者。国内有数の中高一貫校で英語アドバンストプログラムを立ち上げるなど、日本での帰国生教育は15年に渡る。英語学習テキスト『Stranger than Fiction』(南雲堂)などテキストや小説の執筆も。

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