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専門家に聞く・中学受験事情第2回 「入学試験の現状」

日能研関東・関東中学情報部部長の長谷川信誓氏
日能研関東・関東中学情報部部長の長谷川信誓氏

試験慣れのための「県外受験」は一般的に

日本の中学受験事情の第2回目は、入学試験についてレポートする。お話をうかがったのは、前回に引き続き、日能研関東・関東中学情報部部長の長谷川信誓(はせがわのぶちか)氏だ。

2018年度の首都圏の私立中学校(中高一貫校)の一般入試の日程をみてみると、埼玉県の学校が1月10日から、千葉県が1月20日から、東京都と神奈川県が2月1日から一斉に行っている。これは、地域ごとに入試開始日を統一することで、力のある受験生を分散させるためといわれている。

こうした日程のズレを利用し、自分の住んでいる都道府県以外にある学校を受験することを『県外受験』と呼ぶ。「志望校の入学試験日を前に、試験に慣れることを目的とした『県外受験』をすることはめずらしくありません」と長谷川氏。さらに、帰国生入試に関しては取り決めがなく、11月以降に行われるのが一般的だが、近年ポピュラーな存在になりつつある帰国生入試が、こうした〝足慣らし″に利用されるケースもみられるという。

2018年度の入試で、埼玉県の学校の志願者が伸びたのは、地元の応募者の増加に加え、『首都圏入試は1月10日スタート』という意識が県外生にも定着したことにあると、長谷川氏は分析する。埼玉県の私立校の中でも高い進学実績を持つ『栄東中学・高等学校』の志願者は、全日程で11,729名(前年比9%増)と、志願数を伸ばしている。

私立校では、試験日を一日にしぼらず、複数回の受験日を設定する学校は少なくない。また、午前中だけでなく、午後14時以降などに行う『午後入試』を実施する学校が増えている。『午後入試』の利用で、一日2校を受験することが可能になり、志願者が増える要因にもなっているという。

『算数入試』やグループ討論を課すなど、試験内容は多様化

一般入試の入試科目は、国語、算数、理科、社会の4科目を課すのが一般的だが、これらの他に、英語を課す学校や、4科目の中から得意の2科目を選ぶなどの科目選択制を導入する学校、算数だけの『算数1科目入試』を課す学校も増えている。

「『算数入試』などは、数学が必要な進路を希望する生徒の増加、または社会においては数字を使って判断するスペシャリストの必要性が高まっていることなどから、導入する学校が増えています。同時に、理数系に強い生徒を入学させることで、将来、国公立大学進学への実績を伸ばしたいという学校の考えもある。このように、試験内容は学校の教育方針などが反映されているともいえます」。

国際教育や英語教育を重視する学校では、一般入試でも英検2級(日本の高校卒業程度)以上など、高い英語力を求めるケースもみられる。
一方、思考力を育てる教育を重視する学校では、子どもを少人数のグループに分け、討論をさせる試験を課すところもある。

このように、中学受験の試験内容は多様化しており、子どもにあった学校選びの目安の一つになるともいえよう。

(取材/文:橘晶子)

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