Press "Enter" to skip to content

特集 |日本でインターナショナルスクールを卒業すると、どうなる? 全6回—② —初等部編—

初等部を卒業する際の進路選択と注意点

「海外で受けた教育を継続できる」「英語力をもっと伸ばせる」等々、海外から日本に帰国後、我が子がインターナショナルスクールに通うメリットは数多くあります。でも日本でインターナショナルスクールに通うということは、教育制度上は、日本で外国人学校に通うのと同じこと。卒業後に向けて注意すべき点はいろいろとあります。

今特集では、そうした注意点を日本のインターナショナルスクール事情に詳しい国際教育評論家の村田学氏にヒアリング。また、日本にあるインターナショナルスクール6校に進学サポートや実際の進路について伺いました。

第2回目の今回は、日本でインターナショナルスクールの初等部を卒業した後によくある進路を3通り紹介しつつ、その進路に進むメリットと注意点をお伝えします。

初等部卒業後によくある進路3つ

  1. 日本のインターナショナルスクール(中等部)
  2. 日本の私立中学校
  3. 海外のボーディングスクール

初等部卒業後の主な進学先のメリットと注意点

日本のインターナショナルスクール(中等部)

メリット
学習面・環境面の両方で、大きなカルチャーギャップを感じずに進学できる。「同じ学校であれば学びかたも初等部と同じ。子どもにとって安心感の大きい選択と言えるでしょう」(村田氏)。

注意点
「思春期、さらに学習面で本格的になる時期にインターナショナルスクールで過ごすことは、日本の教育文化との分岐にもなりえます。そのため、将来、日本の教育に戻る可能性を残したい場合は、学年相当の日本語の学習言語(CALP)を維持するため、家庭教師や塾、保護者のサポートが不可欠です」(村田氏)。例えば“decimal point”を日本語で「小数点」と呼ぶことなどをコツコツ学ぶ必要があるという。

日本の私立中学校

メリット
近年、英語で授業を行う日本の私立中学校も増えてきており、その場合、インターナショナルスクール初等部からの進学はスムーズ。「クラス内では、帰国生・インター組、理数系組、文系組とグループが分かれる傾向があります。帰国生・インター組は英語力を活かして勉強に励むことができます」(村田氏)。

注意点
ポイントは「日本の学校生活に慣れることができるか」。「自主性を重んじるなど、インターナショナルスクールに近い教育スタンスの私立中学校は多くあります。とはいえ、すべてがインターナショナルスクールと同じとはいかず、大なり小なり戸惑いはあるはず。保護者は子どもの心身と学力の変化を意識的にチェックしていく必要があります」(村田氏)。

海外のボーディングスクール

メリット
寮生活により自立する。そしていわば“アウェイ”の状態で学校生活を過ごすと、メンタルが強く育つという。「逆境を逆手にとって頑張れるのが日本人の魂。海外のボーディングスクールで過ごすことで一気に成績が伸びた、という経験談もよく耳にします」(村田氏)。

注意点
「皆で衣食住・学校生活をともにする寮生活が合わない子どもは一定数います。数学オリンピックに出場するほど学力では申し分ない生徒が、海外のボーディングスクールに進学したらペースが乱れ、学習面でも生活面でも大変な苦労をして退学。結果、日本のインターナショナルスクールに戻った、という例もあります」(村田氏)。

実際の進路を見てみよう

Osaka YMCA International Schoolの例
初等部卒業後の進学実績(近年)


【その他】】日本の私立中学校(主に中高一貫校)、日本にある別のインター、海外にある中学校など。

在籍可能学年はK1(年少)からG9(中等部)までで、幼小中高一貫校のため、初等部卒業後は多くの 児童が同校中等部へ。中等部卒業後は90%以上が同法人内の高等部に進み、IB-DP(※1)課程を履修。2022年度に初めてG12(高等部最終学年)となり、IB-DP資格を活かして国内外の有名大学に進学予定。※同法人内の高等部の卒業生は、アメリカ(TempleUniv.、Monroe Collegeほか)、カナダ、ニュージーランド、韓国などの海外大学や国内大学(早稲田大、国際基督教大、上智大ほか)に進学している。

※1…国際バカロレア・ディプロマ・プログラム

Tokyo YMCA International Schoolの例
初等部卒業後の進学実績(近年)


【日本の中学校】渋谷教育学園幕張中・高、三田国際学園中・高、市川中・高、広尾学園中・高など。
【その他】Global Indian International School、Canadian International School Tokyo、K. Interna tional School Tokyo、KAIS International School、Christian Academy in Japan、New International School of Japanなど。

在籍可能学年は併設の英語幼稚園(2~5歳)からG9(中等部)までで、幼小中一貫校のため、初等部 卒業後は多くの児童が同校中等部へ。中等部卒業後の進学先は日本にあるインターが約70%、日本の高校が約20%、海外の現地高校が約10%。

こんなときはどうする? Q&A

Q. また海外に行くかも…。
日本のインターから海外のインターへ移る際、重視すべきことは?

A. 通っているインターと同じ、あるいは似た系統やカリキュラムのインターを選ぶこと。

 海外のインターナショナルスクールに移る際に一番に考えたいのが、子どもに余分な負担をかけないこと。このためにできるのは、日本で通っているインターと同じ、または似通った系統やカリキュラムのインターを選ぶことだと村田氏は話す。

「アメリカ系のインターナショナルスクールに通っているのならアメリカ系へ、イギリス系ならイギリス系へ、IBならIBへ。同じ系統・カリキュラムであれば、先生や生徒の構成も似てくるので、学習面だけでなく、人間関係の面でも子どもの負担は減らせるはずです。また、日本人児童がどれくらい在籍しているかもポイント。多ければ当然、日本人児童との結びつきは強くなるでしょう。それをプラスと捉えるかどうか。自我の芽生える10歳以降を見据えて、夫婦で教育方針を話し合っておくといいかもしれません」(村田氏)

Q. 日本の公立小学校に移りたくなったら、すぐに移れるもの?

A. すぐに移るのは厳しそう。準備に2~3年はかけたい。

 インターナショナルスクールは新学期が通常9月始まりだが、日本にあるインターナショナルスクールには、日本の公立小学校と同じ4月始まりの学校も。前者なら「年度途中の3月末で退学して日本の小学校へ」、後者なら「4月からキリよく日本の小学校へ」という流れで接続できるが、いずれにしても「備えは十分にしてから」というのが村田氏の考えだ。

「両校は学ぶ言語も授業の進め方も校風も大きく異なります。そのため短期のプランではなく、『2年後、3年後に日本の小学校へ』と長期的に考えて、親子で十分に備える必要があります。日本の学校の学習範囲を確認するために塾に通う、日本語力を上げるために国語を塾や家庭教師に見てもらう、などが有効でしょう」(村田氏)。

次回は、中等部編をお伝えする。

お話を伺った方

村田学氏

国際教育評論家 村田学(むらた・まなぶ)氏

国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了した国際教育評論家で、プリスクール元経営者、幼小中インターナショナルスクールの共同オーナー。ウェブサイト「インターナショナルスクールタイムズ」(https://istimes.net/)の編集長。アメリカで生まれ、6歳で帰国して英語力を丸ごと失った、という苦い経験を現職に活かしている。

協力校(五十音順)/Aoba-Japan International School、Osaka YMCA International School、KIU ACADEMY-KYOTO INTERNATIONAL UNIVERSITY ACADEMY、Tokyo YMCA International School、Nagoya International School(学校法人名古屋国際学園)、Nishimachi International School

【関連記事】