保護者が「高校の金融教育に望むもの調査」
日本の高等学校で2022年4月から「金融教育」が必修化されて1年が経つが、各ご家庭ではお子さんに金融に関するどのような知識を身につけてほしいと考えているのだろうか。
オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」を運営する株式会社トレジャープロモート(東京都千代田区)は、30~60代の男女800人に「高校の金融教育に望むもの」に関するアンケート調査を実施。その結果、世帯年収によって望む教育内容に異なる傾向があることが分かった。今日と明日とで見ていこう。
【「高校の金融教育に望むもの調査」概要】
方法 | インターネット |
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対象 | 30歳以上 69 歳以下の男女800人 |
期間 | 2023年1月21日 |
年収1000万以上世帯は金融教育に関心が高い
調査では、「今の高校生にどんな金融教育が必要と思うか」を質問。その結果、世帯年収が1000万円以上の回答者は、1000万円未満の回答者よりも、ほとんどの項目において必要性を感じる人の割合が高い傾向があった。1000万円未満の方が割合の高かった項目は、「その他」を除くと「借金(奨学金、住宅ローン、消費者金融等)」のみ。
「今の高校生にどんな金融教育が必要と思うか」への回答の差
項目 | 1000万円未満 (N=697) |
1000万円以上 (N=103) |
差 |
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家計管理、生活収支、貯金 | 37.3% | 41.7% | 4.4% |
クレジットカード、デビットカード、リボ払い | 39.6% | 45.6% | 6.0% |
借金(奨学金、住宅ローン、消費者金融等) | 38.0% | 36.9% | -1.1% |
生涯設計、ライフプラン | 30.1% | 44.7% | 14.5% |
年金、健康保険、税金、税制 | 49.1% | 51.5% | 2.4% |
為替、日本経済、世界経済 | 30.3% | 32.0% | 1.8% |
保健(生命保険、火災保険等) | 20.9% | 25.2% | 4.3% |
契約、クーリングオフ | 29.8% | 32.0% | 2.2% |
悪徳商法、投資詐欺 | 34.7% | 36.9% | 2.2% |
利回り、複利 | 18.1% | 29.1% | 11.1% |
資産運用の必要性 | 30.3% | 42.7% | 12.5% |
資産の運用方法(株式、投資信託等) | 35.4% | 42.7% | 7.3% |
簿記、会計、財務諸表 | 19.7% | 22.3% | 2.7% |
IDeCo、NISA | 20.4% | 25.2% | 4.9% |
その他 | 3.3% | 1.9% | -1.4% |
※太字は「1000万円以上」の数値が高かった項目
年収1000万円以上世帯は「生涯設計、ライフプラン」重視
世帯年収1000万円以上と1000万円未満とで顕著に差が出たのは「生涯設計、ライフプラン」で、14.5ポイントの差だった。世帯年収をより細かく分けたグラフで見ても、1000万円以上だけ他と比べて飛びぬけて高いことが分かる。
「生涯設計、ライフプラン」を選んだ理由について、年収1000万円以上の回答者からは下記のような回答が得られた。
- 自分のしたい生き方をしていくのに金融は必要な知識だから(49 歳・女性)
- 日本も欧米と同じように学生時代からお金に関する知識を付けることは、将来、社会人になった際の、借金を抱える人を減らしたり、資産運用のためお金を運用する人を増やせるため(56 歳・男性)
- 金融商品が世の中にあふれている。これを有効に使って人生設計の知識が必要である(67 歳・男性)
- 若い人に早い段階から自分の資産形成について考えて欲しい(69 歳・女性)
- 若いうちから、経済を知りお金に関心を持ち 有意義な仕事に就ける社会人になれそうだから(46 歳・女性)
- 日本は金融教育がなされていない、と言われているので、高校時代から知っておくことは必要だと思うから(36 歳・女性)
他に差の大きかった項目は「資産運用の必要性」が 12.5 ポイント、「利回り、複利」が 11.1 ポイント。世帯年収が 1000 万円以上の人は、「家計管理、生活収支、貯金」よりも「生涯設計、ライフプラン」「資産運用の必要性」を重視しており、世帯年収 1000 万円未満の回答者とは明確に傾向が異なった。
明日も調査結果の続きを見ていこう。
(取材・文/大友康子)