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12年ぶりの生徒指導の手引書改訂で校則見直し

性の多様性など、世相の変化を内容に盛り込む

文部科学省は8月26日、小中学校や高校における「生徒指導提要(ていよう)」の改訂案を取りまとめた。「生徒指導提要」とは生徒指導に関する教職員のための手引書で、全国の教育委員会、小中高校はそれに従って指導を進めている。

現在の生徒指導提要が作成されたのは12年前の2010年。作成以降、学校現場ではICTの普及や性の多様性、発達障害への合理的配慮、人権侵害の恐れがある校則の見直しや廃止などが全国的に広がるなど、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化している。

そのため改訂版では、発達障害や性的マイノリティーの児童や生徒に対する学校の対応、校則の運用・見直しなどを盛り込んでいる。

校則の見直しに児童や生徒自身も関与

今回は様々にある見直し点のなかでも「校則」についての運用や見直しについて見ていこう。改訂案では「校則を制定してから一定の期間が経過し、校則の意義を適切に説明できないようなものについては見直しを行うことが必要」としている。校則の運用についての改訂案は以下のとおり。

校則の運用における改訂案

  • 校則見直しの過程に児童生徒・保護者等の学校関係者からの意見を聴取した上で定めていくことが望ましい
  • 校則見直しの過程に児童・生徒自身が関与することが教育的意義をもつことが明記
  • 校則が制定された背景についても示す
  • 絶えず校則を策定・見直し続けるために、どのような手続きを踏むべきか、その過程について示しておくことが望ましい
  • 校則は学校のホームページに公開する

ルールメイキングで市場形成力を育てる

校則の運用見直し案のなかでも特に児童・生徒自身が関与することが明記されたことについて、2019年から生徒・先生・保護者や地域住民と対話を重ねながら校則の見直しについての活動を行ってきた教育NPO「認定特定非営利活動法人カタリバ」のルールメイキング事業推進リーダー・山本晃史(やまもと・あきふみ)氏は次のように歓迎する。

「ビジネス業界では、社会課題解決を新しいビジネスの機会と捉え、ルールメイキングを活用し、新たな市場を形成する力=『市場形成力』という言葉が生まれています。『新たな市場形成はルールづくりから始まる』とも言うことができ、校則を見直してルールメイキングをする力は、学校を卒業して社会に出てからも必要な力であり、育むべき力であるという見方もあります」

明日は、教育NPO「認定特定非営利活動法人カタリバ」が実際に校則見直しを手掛けた学校に対するアンケート結果を見ていこう。

(取材・文/大友康子)