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特集 帰国生受験の報告書|高校の帰国生入試 最新情報

高校受験を応援する4塾に取材。「大変な今こそ、柔軟に」と感じさせられる情報が揃いました。

現在、帰国生への受験チャンスは増えている

 中学同様、コロナ禍以降の高校の帰国生入試でも、一般入試と通じる変化とそうでない変化があるようだ。

 まず通じる変化は、説明会等の中止による情報不足を背景に「確実に合格できそうな学校を選ぶ受験生が増えたこと」や、改革途中でやや混迷中の大学入試を回避できる「大学附属校の人気」。

 一般入試と異なる変化には、「帰国生が受けられる学校の幅が広がったこと」が挙げられる。ここ1~2年でオンラインでの学校説明会や教育が充実し、海外での情報収集や受験対策がしやすくなったからだ。

「ただ、綿密なライフプランを立てたとしても、外的要因で突然帰国になるケースも出てきました。どんなときも冷静でいられるよう、日本の塾のオンライン講座などを活用して、準備しておきましょう」(SAPIX)

 左の心得にも、フレキシブルな対応を目指すための様々な情報を記した。時と場合に応じて、我が子にとってのベストな判断をしていきたい。

帰国生入試を本格的に行う私立校が増加

グローバル化の波に乗り、「『海外滞在経験のある生徒は、国内の生徒に刺激を与える』と考える私立校が増えた。これまで形だけの帰国生入試をしていたような印象の学校も、徐々に本格的な実施にシフト。男子校や女子校を共学化する際に、帰国生枠を新たに設置するケースなども」(駿台)

大学附属校の人気に拍車がかかっている

「大学入試改革の不透明性と私立大学の入学定員厳格化に伴い、大学附属校人気がより高まっている」(早稲アカ)。理由はやはり、「大学への接続をしてくれる附属校の安定感。大学受験に重きを置かない特徴的な教育をしてくれることも大きな魅力となっているようだ」(EDUBAL)

情報不足によって確実志向が強まった

 学校説明会やオープンキャンパスがコロナ禍で中止になるなどして、対面での情報収集が困難に。「これにより、以前からあった『確実志向』がより強まった。一定数の受験生が変わらず難関校に挑戦する一方、確実な合格のために受験校を下方修正する動きも見られる」(早稲アカ)

学習環境の向上で志望校が多様化

 コロナ禍により急速に進んだ教育のオンライン化は、帰国生が受ける志望校の多様化も促している。「オンラインでの学習環境が向上して、海外滞在時から様々な学校に合わせた受験対策が難なくできるようになったため、帰国生枠のない学校を受験する帰国生も増えた」(SAPIX)という。

海外での1校あたりの受験者数が増加

「『帰国後の受験の前に入試に慣れたい』『合格を確保しておきたい』などの理由で人気だった現地会場での入試が減り、オンライン入試が増加。結果、受験生が実施校に集中」(駿台)。一方、全体の出願校数は減少傾向。「コロナ禍への不安感や景気の停滞感などが理由だろう」(早稲アカ)

専門家が提案する 高校受験生保護者の5つの心得

1.人気校だけにしぼらず、合格安全圏の学校の帰国生受験も検討を

「帰国生としての高校入試では、平均して3~5校を受ける生徒が多い。大学附属校など倍率の高い人気校だけでなく、安全圏となる学校も含めた受験戦略が重要に」(EDUBAL)。戦略を立てるために必要なのは、「第一に、能動的な学校情報の収集。我が子に合う学校を見極めるためにも、それが大事」(早稲アカ)

2.ライバルが多い場合は一般受験枠の活用も視野に入れる

 2021年度の入試では、帰国生受験をする中3生は人気校で1.2倍ほど増加したという。「理由は帰国者が増えたこと。コロナ禍が落ち着かない限り、この傾向は続くと思われる。帰国生のライバルが多い学校を受ける場合は、早い段階から一般入試も視野に入れて、コツコツと準備を進めていくのが理想」(EDUBAL)

3.海外で受験可能な学校には、少しでも興味があるならトライ

 オンライン入試の増加に伴い、海外の会場での受験機会は減少傾向に。そのため、「現地会場で受験可能な学校は、少しでも興味があるのなら受けておくといい。帰国前の受験の練習になり、うまくいけば合格の確保にもつながる」(駿台)。その際、「WEB出願をする場合は、入力ミスのないよう丁寧に作業を」(SAPIX)

4.対面? オンライン?我が子に合う学習法で帰国時期を検討

「自宅待機期間もあり、以前のように短期間で何度も現地と日本を行き来することができなくなったため、オンラインよりも対面での学習を好む生徒は、本帰国時期を前倒す傾向に。多いのは中3の12月頃。早い場合は中2の3月末。帰国時期決定の際は、帰国枠での受験資格がとれるか、必ず確認してほしい」(駿台)。

5.オンラインスタイルに慣れておくことが受験対策にもなる

「学習方法やスタイルの継続性が受験勉強のロスを少なくするので、オンライン授業に慣れている場合は、それを入試直前まで継続することも選択肢に入れておきたい」(駿台)。「オンラインで実施される塾の講座や面談は積極的に利用。慣れておくと、入試本番でオンライン面接がある場合もうまく乗り切れる」(SAPIX)

お話を伺った塾(五十音順)

海外子女向けオンライン家庭教師EDUBAL
海外に住む小中高生を対象にIBなどのインター補習や帰国生受験対策をオンラインで行う。教師は全員帰国子女で現役難関大生。

SAPIX国際教育センター
帰国生の受験指導歴は、設立当初から30年以上。これまでに蓄積してきたデータやSAPIXのノウハウを基に、適切な指導を行う。

駿台国際教育センター
北米、アジア、ヨーロッパにある19拠点の校舎とお茶の水で帰国子女専門の駿台国際教育センターを運営。受験と英語を指導。

早稲田アカデミー
帰国生向けの特別講座等を実施。海外24都市とのネットワークを利用して模試や情報提供などを行い、海外生の受験もサポート。

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