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特集 帰国生受験の報告書|高校受験 報告書2

高等学校の帰国生入試の合格者3名とそれぞれの保護者が合格までの道のりを詳しくご報告。あわせて、塾に教わった帰国生入試の最新事情もお届けします。

公立高校に合格したケース

Aさんとご両親

 Aさんとご両親紹介

東南アジア某国に4年滞在。本人は小5の夏からインターナショナルスクールに通い、帰国後は中3で帰国生がほとんどいない首都圏の公立中に編入学。その年の冬に帰国生入試を受けた。

周囲が「帰国生受験」に理解を示してくれず悩むも、受験した学校のほとんどで合格を得たAさんとご両親。

ねらい|自分らしい毎日と憧れの部活への入部

活発で忖度しない、ありのままの自分で学校生活を送ること。そのために校風が自由で多様性を尊重してくれる学校を選ぶこと。渡航前から憧れていた運動系の部活への入部はマスト。

戦略|第一志望校を決めず合格してから1校選択

「帰国生枠で受験できる」という帰国生ならではの特権を活かして、よさそうと思える学校には公立私立問わず多めにアタック。数校分の合格を勝ち取ってから、進学する1校を決める。

進捗管理

小5
東南アジア某国のインターに通い始める
中1
自ら日本語の作文の練習を始める
中2
英検2級合格後、TOFEL®受験開始
中2
一時帰国中に複数校の学校見学会に参加
中3
たくさんの候補校から本人が受験校を選択
中3
悩み発生
学校の友人たちの理解を得られずに苦しむ
中3
気持ち浮上
公立、私立数校を受け、ほぼ全部合格して安堵
中3
2月
検討を重ねて本人が進学する学校を決定!

志望校も進学先もあえて本人まかせにした

 現在、帰国生が多い公立高校に通って、青春を謳歌するAさん。「自分らしくいられる気がする自由な校風」「憧れていた運動系の部活があったこと」などが学校選択の決め手となった。

 Aさんはこの公立のほか、私立数校を帰国生枠で受け、ほぼ全部に合格。Aさんのお母さんは親として「本人の考えを尊重してきたこと」でこの合格に貢献できたのではないかと振り返る。
「中学生になってからはもうしっかり自分の考えを持っていたので、帰国生用の学校便覧を目につくところに置いたら、あとは娘まかせに。中2の夏の一時帰国では本人が候補に挙げた数校の学校説明会に参加。その後も本人が志望校を選び、最終的には進学先も本人が決めました」(Aさん母)

 学校選びの前段階でも、Aさんは自身の意志でできることをしていた。
「海外滞在中、日本語の作文の勉強を続けたり、英検やTOEFLRを積極的に受けたり。帰国後、学校の勉強についていくためにと5教科の塾に通ったのも娘の希望からでした」(Aさん母)

 こうしたことが結果として、学力のベース作りにつながっていた。

周囲の友人たちにイヤミを言われたことも

 順風満帆に見える受験だが、Aさんは「悩んだ時期もあった」と話す。

「周りには英語で苦労している友人も多く、『英語ができるといいよね、受験楽勝じゃん』『海外で暮らしたら誰だってそのくらいの英語力がつくんでしょ』などと言われてしまって。実際はアルファベットも読めない状態でインターに通い出し、必死に努力して得た英語力です。母はそれを誰よりもわかってくれていたので、話を聞いてもらうだけで慰められましたし、自信を持っていいんだと思えました」(Aさん)

考察1|終わった今思う、これが失敗!
【選択肢の幅】

「今の学校を楽しんでいるからいいのですが、志望校の選択肢にはもう少し幅を持たせてもよかったかもしれません。『自宅から通学』『スポーツは部活の範囲で』と限定するのではなく、『全寮制もOK』『スポーツに本腰を入れてもOK』と提案するなど…」(Aさん母)

考察2|終わった今思う、これが成功!
【本人まかせ】

「自分でよく考えた上で、自分でいろいろな選択をしてきたので、娘は納得感を持って前に進めたと思います。面接の受け答えにもこの“考える習慣”が役立ったかも?」(Aさん母)。「面接では自分のありのままの主張で、素直に話すことができました」(Aさん)

賛辞/保護者から子どもへ

いつも頑張っているね。これからも広い視野でたくさんのものを見て、自分の価値観で人生の取捨選択をしていってほしいです。

謝辞/子どもから保護者へ

身体面、精神面で支えてくれたことに感謝。学校を決めるときも、私を信じて背中を押してくれたから、悔いのない選択ができました。

◆専門家の所見

「すべての受験生がAさんのように自分で考えて行動できるわけではなく、他のルートもあるかもしれません。保護者の方は、お子さん自身が『自分で決めて頑張った』と思えるように、うまく導いてあげることが大切です。この際、ご家庭だけで考えるのではなく、同じようなケースの経験を持っていることの多い学校や塾にも相談を」(SAPIX)

お話を伺った塾

SAPIX国際教育センター
帰国生の受験指導歴は、設立当初から30年以上。これまでに蓄積してきたデータやSAPIXのノウハウを基に、適切な指導を行う。

※…「専門家の所見」でコメントした塾に、このケースのお子さんが通ったということではありません。家庭教師の場合も同様です。

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