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海外在住でも役立つ親と子の防災知識(後編)

(前編)より続く。
いつ何時起こるかわからない自然災害に備えて、大人だけでなく子どもも防災知識を得ておくことが大切だ。最近リリースされた子ども向け防災学習コンテンツ『いつもしも with Kids』は、子どもにもわかりやすく防災知識を学べるサイトだ。すべての漢字にふりがながふられ、平易な文章で書かれており、イラストや写真が豊富なので、とても見やすい。

ふりがな付きなので、低学年の子どもでも読める

『いつもしも with Kids』編集部内には子どものいるスタッフが多いそうだが、スタッフのノマリ氏は、「学習要素が多いため、子どもたちに警戒されるかも…と少々不安でしたが、どの家庭でも好評だったようです。特にドリルは、ボタンを押す・音が鳴るといったギミックがゲーム感覚で楽しかったようで、我が家(小1・小4)では新しい問題はまだできないのかと催促されています」と話す。

ポイントを絞った防災知識を遊びの延長線上で身に付けられるので、海外で子育てをしている日本人の親子にも役立ちそうだ。前出のノマリ氏はこう話す。

「私は2年ほどアメリカに住んでいた経験があります。当時は子どもはおりませんでしたが、周囲のママたちは、特に在住経験が長い方ほど、『かなり意識しないと子どもの日本語がおろそかになってしまう』と話していました。現地校に加えて日本語補習校に通うのが負担になるお子さんもいますが、『いつもしも with Kids』であれば、お子さんが負担に感じることなく日本語に触れながら楽しく防災知識を身に付けられると思います。例えば、ドリルの国語では、いざというときに知っておいてほしい漢字を学べます。『やってみよう』のコーナーでは紙で食器を作る方法を掲載していますが、折り紙文化の一端として海外のお友達に紹介して、一緒にやってみるのもよいのではないでしょうか」

災害時には紙で食器を作って使えば、お皿を洗わなくて済み、水の節約になる。

また、保護者向けの『いつもしも』の方でも紹介されているが、近年は備蓄に関して「ローリングストック」という考え方が主流になっている。例えば食料なら、災害時用の非常食を買いだめするのではなく、レトルト食品や冷凍食品、缶詰など、いつも食べているものを多めに買っておき、消費した分を買い足す、という方法だ。これなら災害時でも食べ慣れているものを食べることができ、賞味期限が過ぎたから処分した、といった食品ロスも減らせる。

ただ、日本に一時帰国で1ヵ月~数ヵ月滞在して再び海外へ赴く、といった場合、一時的な住まいに多くの食料品をストックしておくことは難しい。とはいえ、一時帰国中に被災する可能性がないとはいえない。ノマリ氏にアドバイスを求めたところ、「一時帰国時に、海外では調達しづらい日本の食材を買い溜めされる方も多いですよね。その中でも災害時の備蓄におすすめなのは、アルファ米、餅、ふりかけやお茶漬けの素、海苔、レトルトや缶のおでん、フリーズドライのみそ汁、などです。海外の居住地への持ち込み禁止品が含まれていないか気をつける必要はありますが、いずれもスーパーで簡単に手に入りますので、買い物ついでにお好みのものを見つけてみてください」と教えてくれた。

防災の日を機会に、あらためて親子で防災について話し、それぞれの家庭や住環境に合った備えをしておきたい。

(取材・文/中山恵子)