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渡航前とは大きく違う!?帰国前に知っておきたい日本の小中学校の学習環境|変化1

グローバル化、デジタル化、少子高齢化が進みゆくなかで、働き方改革もスタートして5年。様々な要因が絡み合い、義務教育は転換期を迎えています。今回は数ある変化のうち、「学習環境の変化」に着目。私立校だけでなく、公立校でも、時代に合わせた試行錯誤が始まっています。

変化1|ICT活用機会の増加

BEFORE

教科書はもちろん、ドリルなどの教材も紙ベース。宿題もプリントやノートでして提出

AFTER

教科書が端末で見られるように。ドリルの問題も端末で解け、宿題が端末内で完結することも。

もっと“わかる授業”をICTで作る

「2020年から現在まで、約4年間の“教育のデジタル化”の進度には目を見張るものがあります」こう話すのは、約40年の教員経験を経て情報教育を推進するNPO法人に参画した福田晴一氏。2020年、国はGIGAスクール構想(※1)によって全国の小中学生に一人一台の端末を配備。同年に小学校から順次実施された新しい学習指導要領では「情報活用能力」が学習の基盤となる資質・能力の一つと明記された。成果は国際学力調査「PISA」(※2)の結果にも表れている。

「直近のPISA2022では、OECD加盟37カ国で前回11位だった日本の読解力が2位までジャンプアップ(※3)。理由の一つと見られるのは、前回の“日本の児童・生徒はCBTテスト(※4)に慣れていない”とする分析が今回はなかったことです。日本の教員の質の高さは元より世界からも評価されていましたから、コンピュータを利用した回答への障壁がなくなった今、今回の好成績には納得です」(福田氏)。

国は教育のデジタル化を推し進め、今年度には主要5教科の教科書をそのまま端末で見られるデジタル教科書が本格導入される見通しだ。

「副教材のデジタル化も進み、授業で動画や音声が使いやすくなります。また端末の活用で、調べ学習やグループで行う協働学習、発表の機会も増え、児童・生徒はより主体的に。結果、今まで以上に“わかる授業”が実現するはずです。今後は生成AI(※5)の理解推進も進むでしょう。ただし端末の長時間使用で端末依存が強まる危険も。リアルな体験やコミュニケーションは、変わらず大事にしたいところです」(福田氏)。

変化の例|「生徒たちの学ぶ意欲を、ICTが高めてくれています」/今治市立近見中学校(愛媛県)

「教職員が学ぶこと」が第一歩だった

2022年、文部科学省の「教員のICT活用指導力(都道府県別)」調査で全国1位に輝いた愛媛県にて、教職員へのICT教育研修を行う学校にも選ばれている同校。その歩みは?

ICT活用機会の増加History

2021年
全校生徒にタブレット端末を配備。教職員の研修をスタート。

2022年
学習アプリ2種類を導入(右記①②)。教職員の研修を繰り返し行う。

2023年
学習アプリをさらに導入(右記③)。さらに教職員の研修を繰り返し行う。

「県からは、2022年に生徒と教員が端末上で双方向にやり取りできる学習システム(①ロイロノート)と、画像や音声を活用したテストの作成・実施ができる県独自の学習支援システム(②エイリス)が、翌年には個々のペースで学べるオンラインサービス(③スタディサプリ)が導入されました。教職員がICTをよくわかっていない段階で新しいアプリが次々と入ってきたため、都度、専門家主導の研修を複数回実施。10回以上の研修を経て、一人ひとりがICTを使った指導力を着実に付けてきました。最近は生徒たちのよい反応から“学ぶ意欲の向上”を感じられて、嬉しい限りです」(同校)。

今の目標は、持ち帰った端末を用いた家庭学習の定着だという。

「生徒たちの家庭学習の定着は長年の課題でしたが、その解決にICTがひと役買ってくれそうです」(同校)。

子供たちの反応

  • ICTを活用した授業なら毎日大歓迎。こんなにワクワクするとは思わなかった。
  • 紙のときは集中するのが難しかった家庭学習。端末を使えばちゃんと集中できる!

※1…GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の略。 ※2…通常、3年ごとに行われる。 ※3…2023年12月に結果が発表された。数学的リテラシーは1位(前回※6…2023年12月、文部科学省発表。「完全にデジタル化している」「一部している(半分以上)」「一部している(半分未満)」を合計した%。1位)、科学的リテラシーは1位(前回2位)。 ※4…コンピュータを利用して実施する試験方式。 ※5…学習したデータから新たな画像や文章などを創り出す人工知能の一種。

あわせてチェック! 連絡手段や配布物のデジタル化も進む

欠席・遅刻等の連絡を端末から受け付ける公立の小中学校は65.2%(※6)。学校側は電話対応の負担減で、保護者側は連絡がラクに。配布物もデジタル化以降、学校側は印刷や配布の負担減で、保護者側はなくす心配いらずに。

お話を伺った方

NPO法人みんなのコード未来の学び研究部
福田 晴一(ふくだ・はるかず)氏

東京都公立学校教員として40年勤務。特別支援学校管理職。アメリカ補習校長を経て、杉並区の教育改革を実施。現在は上記法人にてICT・インクルーシブ教育を推進。

取材・文/本誌編集部・庭野真実 イラスト/太田マリコ
※今特集に掲載している情報は、2024年2月現在のものです。国の教育方針等は変更される場合もあります。