新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による休校などの措置を受け、オンライン教育のニーズが高まっている。ICTを活用したオンライン授業の取り組みについて、海外の学校での事例なども頻繁に耳に入るようになってきた。日本では、文部科学省が学習支援のポータルサイトを開設するなどの動きを見せてはいるものの、現段階で「小中学校や高校での授業のオンライン化」推進についての強い方針は打ち出されていない。各家庭の通信環境、端末利用状況などに差があることなど、様々な環境要因がハードルを上げているようだ。
こうした中、一部の大学や学習塾などでは、オンライン授業の推進に取り組むケースも見られている。現状は先行き不透明だが、今後、学びのシーンでオンライン授業導入の動きが加速することは十分予測される。そこで、いざ自分の子どもが通う学校や学習塾がオンライン授業を開始するとなった時に慌てないように、ツール面からその基礎知識を紹介しよう。
Web会議サービスを使ったオンライン授業のメリット
オンライン授業で利用されることが多いのは、ZOOMやMicrosoft Teamsといったクラウド型のWeb会議サービスだ。またSkypeなど、おなじみのコミュニケーションツールでも同様の機能を提供している。いずれもインターネット環境があれば利用でき、専用の機材を用意する必要がないなど敷居が低い。シンプル操作で使いやすい点も共通する特徴だ。
このようなWeb会議サービスを使えば、パソコンやタブレットなどを使用して、家庭にいながら先生やクラスメイトと双方向のコミュニケーションを行うことができるようになる。ツールの中には録画機能を備えているものもあり、これを使えば復習として画像を繰り返し視聴することも可能だ。
家庭で準備するものは?
オンライン授業に参加するために、家庭で最低限用意しておきたいものは何だろうか。授業への参加方法としては、教師側が授業にアクセスするためのURLを発行し、生徒側がURLにアクセスしてサインインするという方式をとっているサービスが多い。つまり生徒側で最低限必要なのは、インターネットに接続できる端末ということだ。以下にまとめたので参考にしてほしい。
(1)パソコン、タブレット
インターネットに接続できて、画面を表示するための端末が必要。多くのWeb会議サービスはパソコンやタブレットに対応している。また、スマートフォンでも利用できるものがほとんどだが、画面サイズのあまりに小さいものは資料の表示などで難があるかもしれない。会話をするための音声入力機能、こちらの姿を映すためのカメラ機能、講師の声を聞くための音声再生機能が搭載されていることが必要になる。
なお、OSのバージョンや端末のスペックはサービスごとに違うのでそれぞれ確認してほしい。
(2)インターネット回線
利用する製品によってそれぞれ必要な帯域幅は違うが、例えばZOOMのグループビデオ通話の場合なら、高品質ビデオの場合に600kbps/1.2Mbps(上り/下り)とされている。
サービスの中には有料のものもあるが、基本的に授業を開催する教師側への課金となり、サインイン時に生徒側が費用を負担する必要はない(※1)。なお、当面の新型コロナウィルス対応として、教育機関向けに無償で機能を公開しているサービスも多い。
最後に、子どもがオンライン授業を受ける上で保護者が注意しておきたいセキュリティ対策にも触れておこう。悪意ある外部の侵入者が妨害を目的に授業に参加してくるなどの被害も報告されている。これに対しては、講師側でパスワードによるアクセス制限を行うなどの対策がとれる。生徒側はURLをむやみに部外者に漏らさないことを注意したい。また、アプリやソフトウェアのバージョンは常に最新のものにアップデートすることを心がけよう。
※1 学校や学習塾ごとに管理費などの諸経費、その他費用が発生する場合もある。