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日本の学校の制服事情

日本の学校制服と聞くと、「画一的」との印象を持つ方も多いだろう。しかし最近では、実はより多様で着る人重視のものになり、さらに機能的にも進化しているということをご存知だろうか。昨今ニュースで目にすることも多くなったジェンダーレス制服の取り組みをはじめ、デザインや機能性などのトレンドについて、スクールウェア大手の菅公学生服株式会社に伺った。

選択制で組み合わせはより柔軟に。ジェンダーレス化も進んでいる

従来、「男子向け/女子向け」としっかり分けられていた学校制服のあり方に変化が見られるようになってきた。男女にかかわらずスカート/スラックス(半ズボン)を組み合わせ、自分の着る制服を決めることのできる「選択制」を導入する自治体(※1)も出始めている。その背景には「性別違和(※2)」を持つ生徒や児童に対する配慮の浸透がある。

※1 福岡県北九州市など
※2 自身の性別についての、身体の性別との不一致、または男性・女性のいずれにもあてはまらないなどの感覚。

このような流れを受けて、制服のデザイン自体にもジェンダーレス化の傾向が見られるようになってきた。昔ながらのいわゆる「詰襟・セーラー」スタイルを採用する学校は年々減り、フレキシブルに組み合わせやすいブレザータイプが主流になっている。

ディテールや服地についても、性別にかかわらず誰でも似合うシンプルさが好まれている。華美で装飾的なものは敬遠される傾向にあり、柄はより抑え目に。また織り柄で風合いを見せるさりげないおしゃれも人気だ。定番のチェック柄も、目立つ大柄からほかのパーツと合わせやすい小柄へとトレンドが移っている。

ウォッシャブルなど機能性、また着心地や動きやすさにも注目

機能性や着心地の面でも、制服はアップデートを続けている。

クリーニング不要、ノーアイロンでもシワのできにくい素材を使った「ウォッシャブル」制服は、洗濯機で洗うことができ、保護者からの人気も高い。
菅公学生服によれば、最近では制服をリニューアル/新規採用する学校のほとんどがウォッシャブルであることを条件に挙げている。家庭で洗えることは大前提で、「夜に洗っても朝には乾く」手軽さが求められているという。

「昔の制服に求められていたのは『皆でまったく同じ制服を着られること』でしたが、最近は生徒一人ひとりの選択を尊重しながら、さらに学校ごとの特色を表現する方向にシフトしています。ストレッチ素材を取り入れ、着心地のよさや動きやすさにこだわった制服など、一昔前と比べたら格段に進化しているのが昨今の制服事情です。学校ごとに様々な個性がありますので、帰国後の学校選びの際にはぜひチェックしてみてください」(菅公学生服 営業本部第二学校推進部 吉川淳稔氏)。

取材協力/写真提供 : 菅公学生服株式会社