Press "Enter" to skip to content

小中学生のスマホ管理調査(後編)|スマホの過度な利用を防ぐ対策は?

昨日は塾や習い事に関する総合情報サイト「テラコヤプラス by Ameba」が小中学生の保護者に対して行った、「子どものスマートフォンやタブレットの管理」に関するアンケートの結果を紹介した(スマートフォンやタブレット=以下、「スマホなど」と表記)。

代表的な管理方法として挙げられる「フィルタリング」は約65%の保護者が対策していたが、それだけでは十分ではなく、“リビングで”などと「利用場所の設定」をしたり、「ロックの番号を家族で共有」「閲覧履歴の確認」など、保護者が目で見て確認することが効果がありそう、という結果であった。

本日も調査結果の続きを見ていこう。

家族のコミュニケーション増でスマホ利用削減

フィルタリングなど利用の際の対策でなく、スマホなどの利用自体を削減するために何か対策をするなど、利用方法以外で対策を講じたことはあるかを聞いた。約4割(42.5%)の保護者が対策を講じた経験があることがわかった。

対策としてもっとも多かったのは「家族でのコミュニケーション(会話や外出など)を増やした」、続いて「勉強の習い事を始めたまたは増やした」「アナログな趣味を見つけさせるようにした」だった。以下、具体的な保護者からの声。

【家族でのコミュニケーション(会話や外出など)を増やした】

  • できるだけ外で遊んだり買い物に連れていってタブレットを触る時間を減らした。(小学3年生の保護者)
  • 家族でトランプをしたり、一緒に映画を見たりする時間を増やしています。(中学1年生の保護者)

【勉強の習い事を始めたまたは増やした】

  • 公文に通わせて、宿題をやる時間、通う時間を増やして使用時間をなるべく減らしている。(小学4年生の保護者)
  • 息子の友だちが毎日のように我が家に来てゲームやタブレットで遊ぶのを見ているのも辛くなったのと、これでは外にも出ないであまりよくないと思ったから。(小学4年生の保護者)

【アナログな趣味を見つけさせるようにした】

  • 絵を描いたりピアノを弾いたりボードゲームをしたり、アナログで頭と指先を使う遊びなどを積極的に取り入れた。(小学6年生の保護者)
  • 工作キットやプラモデル、カラーペンのセットなど手を動かすためのホビー用品を購入した。(中学3年生の保護者)

「ご飯も食べずにスマホ」で保護者もぐったり

アンケートから、フィルタリングや家庭でのルールを決めたり、また家族の会話や習い事などを増やして物理的に端末から手を遠ざけるようにしたりするなど、子どものスマホなどの利用をめぐって奮闘している保護者の姿が明らかになった。

そこで、子どものスマホなどの利用を管理したり注意を促したりすることに疲れを感じたことがあるか尋ねたところ、約4割(38.8%)が疲れを感じたことがあると回答。

さらに、特に子どものどのような利用において管理疲れを感じているか尋ねたところ「YouTube」がもっとも多く、「SNS」が続いた。以下、具体的な保護者からの声。

YouTube

  • 朝起きて身支度もせずYouTubeを見る行動が増え、ご飯も食べずに依存しケンカになることも多々。しつこく言うのが疲れる。(小学4年生の保護者)
  • 時間制限の対策をとっても、お友だちから抜け道を教えてもらい、いつの間にか制限時間以上に使用している。(中学1年生の保護者)
  • 普段の生活では使わない過激な言葉や卑猥な言葉とその意味を知っていた。現実の世界で発しては危険だと思いその都度注意はするが追いかけっこ状態。(中学2年生の保護者)

SNS(LINE、YouTube以外)

  • 発信する内容を逐一指導することは不可能。(中学2年生の保護者)
  • “ほかの友だちはやっているから”などと言われたらアカウントを作っちゃダメとも強く言えず、口約束だけでは実際どこまで守っているかわからない。(中学2年生の保護者)
  • 友だちの投稿を見てうらやましいと言ってくるとき。(中学3年生の保護者)

YouTubeの視聴に関する悩みは小学生の保護者から、中学生の保護者からはSNSに関する悩みが多く寄せられており、スマホなどの利用に関しても子どもの年代によって保護者の悩みは変化しているようだ。

過度な利用とトラブルを防ぐ効果的な対策は?

「スマホ管理」に疲弊する保護者の姿が浮き彫りになったが、とはいえ、スマホ管理の対策やサポートをあきらめるわけにはいかない。子どもの過度な利用とトラブルを防ぐためにどのような管理やサポートなどの対策が効果的だと思うか、尋ねた。

「何かあったときに保護者に相談しやすい環境をつくること」(28.9%)と「家庭で利用方法についてのルールを作り守らせること」(28.6%)がほぼ同率で1位、それぞれ約3割となった。以下、具体的な保護者からの声。

  • 利用を制限していても何かトラブルに巻き込まれてしまうこともあるかもしれないから、そのときにすぐ保護者に言える方がいい。(小学5年生の保護者)
  • スマホ以外でも、困ったり悩んだりとなんでも正直に話せる関係であれば問題ないと思う。なんでもよく会話して交友関係を知ることが大切だから。(小学6年生の保護者)
  • スマホ利用に関して制限を設けすぎるのは今後のデジタル社会において反していると思っていますので、社会ルールを覚えさせるのと同じように伝えていくことが重要。(小学4年生の保護者)
  • だめと言っても制限をかけてもこっそり触ってしまうものなので、あまり抑えすぎずに、トラブルに巻き込まれたときに早めに対処できる方法は子どもから相談されること。(中学3年生の保護者)
  • いつでも子どもを信頼していることを伝えて、困ったことがあれば相談できる関係性を作っていれば、子どもも自分がしたいことがあれば言ってこられるので、隠れて悪いことをする必要がなくなるから。管理したら、それに反発したり、抜け道を探したくなるのが子ども。(中学3年生の保護者)

「相談できる環境づくり」が効果的な対策

アンケート結果の通り、フィルタリングなどの対策よりも「何かあったときに保護者に相談しやすい環境をつくること」と「家庭で利用方法についてのルールを作り守らせること」が本当に重要だろう。

「テラコヤプラス by Ameba」の調査担当者も言う。

「過度な利用とトラブルを防ぐための“絶対的な対策”というものはないからこそ、スマホなどの利用に関しても『なにか起こるかも知れない』を前提に保護者は子どもを見守り続け、かつ『なにかが起こったときに相談できる環境』をつくることがもっとも効果的な対策なのかもしれません」

(取材・文/大友康子)