現在、受験生を抱える保護者の方ご自身の受験期に勉強時間を奪う誘惑といえば、テレビや漫画くらいだっただろうか。ところが、今はスマートフォン(以下、スマホ)という強大な誘惑があり、それに打ち克つのはなかなかに至難の業だ。
オンラインコーチング学習サービス「スタディチェーン」を運営するHUSTAR株式会社(東京都新宿区)は、今春、現役大学生を対象に「受験期にスマホを使用していたか」についてインターネット調査を実施。
公式サイト内で公開したアンケート結果によると、受験期にスマホを「使っていた」のは全体の73%。また、「制限して使っていた」と回答した人は19%。スマホを無制限には使わずに、「友だちと連絡を取るときだけ使う」「1日の終わりにYouTubeで好きな動画を3つだけみる」、「受験情報の収集として使う」などといった制限付きで使用する人も見られた。いずれにしろ、合計で受験生の9割はスマホを受験期も継続使用していたことになる。
一方、「使っていない」という回答は8%。ついつい手をのばしがちなスマホの誘惑を断ち、無駄な時間をなくし勉強に専念した姿は非常に立派だ。
時間制限ロックアプリ使用のススメや親が預かるなどして、スマホ時間減少をサポート
アンケート結果紹介記事では、受験期にスマホとうまく付き合うためのアドバイスも掲載している。筆者の解釈を少し加えつつ、いくつか紹介していこう。
まず、ひとつは時間制限ロックのアプリを使用し、自分で決めた時間帯はスマホを使えないようにしたり、1日当たりのスマホ使用時間を設定し、それ以上は使えないようにする(iPhoneはアプリなしで使用時間を抑えることのできる機能あり)。
ふたつ目は学習用アプリを使用したり、カレンダーアプリで勉強計画を管理したり、YouTubeの勉強動画を見るなど、スマホを勉強に活用すること。赤本を実際に解いている手元動画、多くの受験生が悩みを抱える問題に対して大手の塾講師が答えを出してくれている動画、おすすめの参考書の紹介、さらにはその参考書ごとの取り組み方まで説明してくれている動画など、YouTubeに挙がっているクオリティの高い勉強動画を活用するのは確かにいい。ただし、受験に役立つ知識ばかり頭の中に入れても実際に勉強が身につくわけではないので、本来しなければならない自分の勉強がおろそかになるなど、本末転倒にならないように注意が必要だ。
当記事内では「スマホを解約する」という手段も紹介している。学習用アプリなど、勉強に役立つ面が多少はあるにしても、一般的な受験生にとってはやはりスマホは時間泥棒的な側面が濃厚だ。解約してしまい、スマホに費やしたであろう時間を勉強に充てられれば、それに勝ることはない。
しかし、「解約まではしたくない」と思う受験生が大半だろう。その場合、「スマホを物理的に手の届かないところに置いておく」のがいい。親に預けたり、高い棚の上に置いたり、物理的にすぐに手の届かないところに置くことで効果的にスマホを遠ざけることができる。
スマホをいじる時間を減らさなければと思いつつなかなか誘惑に勝てない、そんな受験生をお持ちの保護者の方は「使用時間を制限できるアプリがあるんだってね」などといったところから声がけしてみてはいかがだろうか。さらに、このアンケート結果を紹介している「逆転合格のための勉強法ブログ」の閲覧を勧めると、なおいいだろう。
実は高3の受験生をもつ、筆者自身がまずは実践したい。ただし、我が子の場合、「スマホ時間を減らさなければ」と意識させるところから始めなければならないのだが……。
(取材・文/大友康子)