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現役高校生のトイレ研究家が『SDGsを漫画で学べるトイレットペーパー』を開発(前編)

SDGsやトイレ・ジェンダー課題への認知度をトイレットペーパーを用いて向上

現役高校生のトイレ研究家・原田怜歩(はらだ・らむ)さん(公文国際学園高等部2年)が率いるプロジェクトチーム「Plunger(プランジャー)」が、「SDGsを漫画で学べるトイレットペーパー」の開発・全国普及のために1月15日~2月28日の間にクラウドファンディングを実施した。

Plungerは性自認や障がいの有無にかかわらず、すべての人が同様に利用できるトイレの普及を目指して、ステッカー設置などの簡易アクションから、インクルーシブトイレの設置まで、トイレを起点としたアクションを実行中。

今回の取り組みでは「SDGsにおける 17個のゴール」と「トイレにおけるジェンダーの課題」を関連づけて説明する漫画が描かれたトイレットペーパーを作成。誰もが毎日使うトイレットペーパーをメディアとして利用することで、日本社会におけるSDGsやトイレ・ジェンダー課題への認知度をUPさせ誰もが「自分ゴト」と認識して行動できる社会の形成を目指すという。

SDGsを漫画で学べるトイレットペーパー

中3でのアメリカ短期留学時に遭遇した、大学のジェンダーレストイレに衝撃

原田さんは、なぜトイレを研究するようになり、そして今回「SDGsを漫画で学べるトイレットペーパー」の開発・普及を思い立ったのだろうか?

それは同氏が小学校時代に親友からジェンダーにまつわるカミングアウトを受けたことに始まる。そのときから、“性自認との相違や周りからの視線によって外出時にトイレを使用できない”という親友の悩みに心を寄せていたのだ。

その後、中学3年生の時にアメリカで2週間ホームステイを行った際、アメリカの一般的なトイレの無機質な雰囲気に不安を覚え、それが原因でホームシックにもかかった。そのとき、ホストファザーが近くの「大学のトイレを見てきてごらん」と勧めてくれた。「ウォシュレットでもあるのかな」と期待して出向くと、そこで目にしたのは性別や性自認に関係なく誰もが平等に使える「ジェンダーフリートイレ」だった。

“性自認との相違からトイレを使用できない”と語っていた親友の悩みを解決する場が、そこにはあったのだった。

ジェンダーレストイレ研究をテーマに「トビタテ! 留学JAPAN」でアメリカ留学

そして高校1年次、原田さんはジェンダーレストイレの研究をテーマに、文科省の「トビタテ! 留学JAPAN」のプログラムに応募。1年間アメリカに留学することになった。現地ではLGBTのコミュニティとの交流会やトイレを回ってトイレ研究に打ち込んだ。

アメリカへの留学や、その経験をもとに今回の「SDGsを漫画で学べるトイレットペーパー」開発・普及を目指すようになった経緯について、原田さんは次のように語る。

「自分がいる、快適で安定した空間、”コンフォートゾーン”を一歩飛び出してみようと思いました。そこでの経験は時に厳しい壁として、また、時には自分の固定観念をも動かすほどの衝撃を与えてくれました。

“トイレから始まる社会課題への挑戦”、この原動力は自分が思い切って踏み出したその大きな一歩に隠されていたと思います」

明日はクラウドファンディングの結果や、原田さん率いる「Plunger」の今後の活動について紹介する。

(取材・文/大友康子)