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登下校や外出時に子どもが怖い目にあうケースで多いのは「1学期」「下校中」「通学路」

学校の登下校中や放課後の子どもだけでの外出中に、不審者や犯罪者などにより怖い目にあったという児童は、約70人に1人の割合でおり、こうした被害は「1学期」「下校中」「通学路」に多いことが、ALSOK(東京都港区)が行った「第4回 担任の先生に聞く、小学生の防犯に関する意識調査」で明らかになった。

この調査は、同社が全国の公立・私立小学校を対象とした防犯などに関する出前授業「ALSOKあんしん教室」に参加した学校のクラス担任教員を対象に行われた。回答数は815名(担当児童数:21,660人)で、調査期間は2018年6月~2019年3月だ。

連れ去り目的の誘い文句は、子どもの興味や好奇心をそそる声掛け

まず、担任教員に、「自分が受け持つクラスで、過去に危険な目にあったことのある児童は何人いるか」をたずねたところ、登下校中や外出中に、何らかの怖い目にあったことがある児童は、70人に1人(299人/21,660人)の割合だった。

その児童がどのような目にあったかについては、「しつこく話しかけられた、つきまとわれた(連れ去り目的以外)」が44.5%、「声掛けなどにより、どこかへ連れていかれそうになった」が24.4%、「強引に手を引かれるなど、無理やり連れていかれそうになった」が23.4%の順で多かった。

児童はどのような目に遭いましたか

子どもをねらった犯行の際に使われるとされる誘い文句を、「興味系」「親切系」「困惑系」「ハプニング系」の4系統に分類し、「(児童が)声掛けなどにより、どこかへ連れていかれそうになった」と回答した担任教員に、どのような言葉で声を掛けられたのかを具体的にたずねたところ、「興味系」の誘い文句が37.0%と最も多く、「ハプニング系」が9.6%、「困惑系」が6.8%、「親切系」が2.7%だった。その他の回答では、「率直に『一緒に行こう』と言われた」などがあがったという。

●興味系:「ペットを見せてあげる」、「タレントにならない?」など、子どもの興味や好奇心をそそる手口
●親切系:「迷子の犬を一緒に探して」、「駅まで案内して」など、子どもの親切心につけ込む手口
●困惑系:「雨が降ってきたので、家まで送ってあげる」など、子どもが困っているところにつけこむ手口
●ハプニング系:「お母さんが病院に運ばれたから、一緒に行こう」など、子どもをさせて平常心を奪う手口。

また、こうした被害にあった時期は、新学期にあたる「1学期中」が37.1%と最も多く、「2学期中」が25.1%だった。また、被害にあった時間帯は、「下校中」が47.5%、「外出中(日没前)」が24.1%、「登校中」が9.7%の順で、被害にあった場所は、「通学路」が51.2%と半数以上を占め、次いで「通学路以外の路上」が13.7%、「公園・空き地」が11.0%、「公共施設内」が5.0%の順だった。

被害に遭った時間帯

こうした結果をふまえ同社では、「通いなれた通学路であっても、夏休み明けなどは草木が繁茂するなど、1学期にはなかった死角ができている可能性があり、年末にかけては日没時間が次第に早くなる。いつも通っている道だと過信せず、『なるべく一人で行動しない』『日没前には帰宅する』『(人通りが少なく、死角が多い)危険な場所には近づかない』といった約束を守ることが大切」と、注意を促している。

子どもがひとりで留守番するときは、家に大人がいないことを悟らせない

「学校の登下校や子どもだけでの外出と違い、自宅にいれば安心」と考えがちだ。だが、子どもが一人で留守番している家を狙う犯罪もあり、細心の注意が必要だ。

「現在担当するクラスで、留守番経験がある児童は何人いたか?」という設問では、留守番経験のある児童は全学年で4,646人(回答した教員:251名、担当児童数合計:6,369人)おり、そのうち、見知らぬ訪問者が訪ねてきたことがある児童は4,646人中234人、つまり20人に1人の割合でいることがわかった。

警察庁の統計では、子どもが被害にあう事件の発生場所は、「路上」に次いで「住宅」が多く、業者などを装って玄関の扉を開けさせ、犯行に及ぶケースが目立つという。

留守番中の子どもをねらった犯罪防止には、「子どもがひとりで留守番していることを悟らせないこと」が重要であり、子どもが学校や外出先から家に入る時から注意を払う必要があるという。同社の「ALSOKあんしん教室」では、子どもが学校や遊び、習い事などから一人で自宅に帰って、留守番を始める前の約束を「いいゆだな」という覚えやすい合言葉で児童に伝えている。

■外出先から帰って、留守番を始める前の約束

い) 家のカギを見せない(これから留守番をすることが、悪い人にわかってしまうから)
い) 家の周りをよく見る(悪い人が後ろにいたり、隠れたりした場合に、押し入られることを防ぐため)
ゆ) 郵便受けをチェック(郵便物があふれていると、留守宅だと思った空き巣に入られるかもしれないため)
だ) 誰もいなくても「ただいま」と言う(家の中に誰かいるんだなと思わせるため)
な) 中に入ってする戸締り(悪い人が家の中にいるのを防ぐため)

高学年でも必要な防犯ブザーだが、学年が上がるごとに所持率は減少

防犯ブザーは、児童が危険を感じた際など、万が一という時に、声が出せない状態でも大きな音で危険を周囲に知らせることができる。また、見えやすいところに付けていることで、被害の抑止効果も期待でき、自治体によっては、小学校入学時に全児童に防犯ブザーを配布しているところもある。

この防犯ブザーの所持率の推移(過去3年間)をみると、年々、増加傾向にあり、特に1年生での増加が顕著だ。

防犯ブザー所有率の推移

しかし、学年ごとの防犯ブザーの所持率をみると、1年生で全児童が所持している(所持率100%の)クラスは、全体の約2/3だが、学年が上がるごとに減少し、4年生で全員が所持しているクラスは約1/3まで低下していることがわかった。

クラスの児童の防犯ブザー所有率

警察庁の統計からは、学年が上がるほど被害に合う確率が高まると考えられ、高学年でも防犯ブザーを持たせることは重要だ。日常生活を送るうちに、壊れてしまうこともあるので、防犯ブザーがきちんと作動するかどうか、定期的に確認することも必要だ。

こうした防犯に関する知識や情報は親子で共有し、日頃から登下校や外出時に気を付けることや留守番するときの注意点などを、しっかり話し合っておくことが不可欠だろう。

(取材・文/橘晶子)