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大学と協力して作る学びの場〜私立小・中・高の実態レポート〜

近ごろ、日本の私立小・中・高校では、大学と協力(連携)した学びの場を提供する学校が増えています。

小学校段階での海外大学見学や、大学の研究室での研究・実験、海外大学と連携したSGH(スーパーグローバルハイスクール)プログラムなど、さまざまな学びの実態をレポートします。

小学校・中学校・高校段階で大学の環境や学びを体験するメリットとは?

小学校・中学校・高校段階で大学の環境や学びを体験するメリットとは?

私立の小・中・高校では、大学の環境や学問に触れるプログラムが増えつつあります。

大学入学前にこうした体験をする利点は何なのか、教育研究所を主宰する安田理氏にお話を伺いました。

対象も内容も多様化する大学との学びのカタチ

まずは大学見学の事例から紹介する。安田氏によると、近年、高校の修学旅行での「大学キャンパス見学」は一般化し、特に有名大学のキャンパスツアーが人気だという。

例えば「東京大学」では、ホームページでキャンパス見学のほか、高校生対象の特別講座や研究室見学なども告知している。

「学校単位での大学見学は進路指導の一環ともいえ、生徒の進学や勉強に対するモチベーションアップに繋がっています」(安田氏)

大学の模擬授業や研究を中高生に体験させるケースもある。きっかけは、1999年に「中央教育審議会」が出した答申だ。

当時は、大学教員による高校での講演会や出前授業を中心に行われた。

現在では、大学教員に加え、各分野の専門家を招いた独自の講座を開講するなど、その内容は多様化している。

その先駆者とも言えるのが「桐光学園中学校・高等学校(神奈川県川崎市)」。

2004年から大学教員のほか劇作家や建築家など、さまざまな分野の第一人者を招き「知的好奇心を喚起する」をテーマに課外授業を実施している。

また近年はその対象も低年齢化している。小・中・高の接続教育が進むなか、中高のみならず小学生を対象とした講座を開講する学校も出始めている。

一方「明治大学付属中野八王子中学高等学校(東京都八王子市)」では「明治大学」法学部の「司法試験予備試験答案対策講座」を大学生と共に受講できるなど、大学付属校ではそのメリットを生かした連携が進む。

※中央教育審議会…「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」と題し、高校教育から大学教育への円滑な移行などを中心に提言された

大学と協力して作る学びの場〜私立小・中・高の実態レポート〜

理系分野では研究室訪問が主流

学ぶ分野が理系の場合は、大学を訪問する傾向にあるという。

中学・高校にはない研究室や最先端の設備など、大学ならではの環境を体験できるからだ。

「生徒たちは、研究の現場で、研究におけるオリジナリティの大切さや、実験などでの地道な努力、協働力の必要性などを実感します」(安田氏)

理系分野の講座に力を入れる学校も増えている。

「広尾学園中学校・高等学校(東京都港区)」では「スーパーアカデミア最先端と最前線の超一級講座」と題し、最先端の研究に取り組むさまざまな分野の科学者や研究者を講師に招く。

2017年には「昆虫を分類する~新種発見から命名まで~」「体内時計と健康」「錯視の脳科学」など、17の講座を実施した。

大学での学びを知り個性や能力を伸ばす

「文部科学省」が主導するSGHやSSHは、大学との連携が指定の要件となる。

SGHの「順天高等学校」(東京都北区)の例を挙げると「立命館アジア太平洋大学」「東京外国語大学」などと連携し「アジア・太平洋地域における教育的支援プロジェクト」について実践的研究を進める。

フィリピンでのフィールド調査では、現地やカナダの高校生と共に最貧困地区でのインタビューも行った。

こうした大学と連携した学びについて、安田氏は「豊かな個性や優れた才能を発揮する場となっている」と語る。

また「学問とは本来、自らテーマを見つけ、それを探求するもの。大学の多様な学問や研究分野を知り、“これをやりたい”という視点で将来をとらえ、小中高での学びに繋げてほしいです」(安田氏)とする。

※SGH…Super Global High Schoolの略。グローバル・リーダー育成を目的に、国内外の大学や企業、国際機関等との連携、国内外のフィールドワークなどを要件に指定

※SSH…Super Science High Schoolsの略。国際的な科学技術を担う人材育成を目的に、独自のカリキュラムの開発・実践や課題研究、観察・実験等の理数教育を行う高校等を指定

大学と協力(連携)した学びのメリット

①進路や将来への興味・関心が高まる

②勉強へのモチベーションが上がる

③さまざまな学問を知り、大学で学ぶ姿勢を理解できる

④学問や研究の独自性や、協働の大切さを実感できる

⑤個性や資質を生かし、能力を伸ばせる

お話を伺った方

安田理

安田理氏

大手出版社で雑誌編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。2002年『安田教育研究所』設立。教育に関する調査・分析や講演、執筆、セミナー開催、コンサルティングを手掛ける。著書に『中学受験わが子をつぶす親、伸ばす親』などがある。

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