国際化が進む中で、海外から帰国した生徒(帰国生)を受け入れる高校は、国公立・私立を問わず日本全国で増加中です。「帰国生入試」を受けて高校入学するためのスケジュールを紹介します。
スケジュールで気を付けたいことは「海外と日本の学校との修了月のズレ」
スケジュールを組む際に最も気をつけたいのは、子どもが全日制日本人学校ではなく、英語圏の現地校やインターナショナルスクールに通っている場合だ。なぜなら、日本の高校を受験する際は「入学年の3月末日までに(小学校~中学校までの)9年間の学校教育過程を修了、またはその見込みであること」を条件にしている学校が大半だからだ。
しかし、現地校やインターナショナルスクールに通っている場合は、日本の学校の修了月との違いから、その「9年間」という条件を滞たす前に受験期が来てしまう。この“ズレ”に対処する代表的な方法は4つある。
ズレを解消する方法(9年間の学校教育課程を修了&見込みにする方法)
①…早めに帰国して中学校に編入し、3月末日までに修了見込みとする。
②…海外の全日制日本人学校に編入し、3月末日までに修了見込みとする。
③…海外の学校をそのまま卒業し、日本の高1の途中(多くは9月)に編入学する。
④…海外の学校でG10・Y10に進み、12~2月に退学して受験し、4月に入学(自動的に1学年落ちる)。
ただ、どれを選ぶにしても、リスクは把握しておきたい。
①は、日本の中学校に馴染めないことから受験勉強に集中できないことも。②は、全日制日本人学校は運営母体が私立なので、いつでも編入学できるとは限らない。③は、編入学試験自体が欠員補充であることも多く、志望校が実施しないこともありえる。また実施されたとしても高倍率になりやすい。④は、学年が下がることへの精神的なストレスに対してフォローが欠かせない。
とはいえ、こうした方法で見事合格するケースも少なくない。通年で編入学試験を実施したり、入学年の6月卒業見込みでも受験を認める学校が少数ながら出てきたのも嬉しいことだ。
【帰国生の高校入試日程】
【スケジュールの実例】
CASE1 現地校(イギリス)→ 国立高校入学(4月)
本帰国が7月だったので現地校の学年を修了できた。本帰国後半年間は地元の中学に通学。
赴任直後 | 情報収集開始 |
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1月 | 本帰国決定 |
7月 | 本帰国(父母共、14歳) |
9月 | 公立中学への登校開始(中3) |
2月 | 帰国生入試受験(国・数・英・グループディスカッション) |
↓ | 合格 |
3月 | 公立中学卒業 |
4月 | 国立高校への登校開始(高1~) |
CASE2 日本人学校(バンコク)→ 公立高校入学(4月)
日本で進学塾に通わせたかったので、父を待たずに母子で本帰国。塾には1年半ほど通学。
5月 | 本帰国決定、情報収集開始 |
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8月 | 本帰国(母、13歳※中2) |
9月 | 公立中学への登校開始(中2) |
12月 | 本帰国(父) |
翌2月 | 帰国生入試受験(国・数・英・面接) |
↓ | 合格 |
翌3月 | 公立中学卒業 |
翌4月 | 国立高校への登校開始(高1~) |
CASE3 現地校(アメリカ)→ 私立高校入学(4月)
決定後1カ月以内での本帰国と慌ただしかったため、ひとまず地元の公立中学に編入した。
7月 | 情報収集開始 |
---|---|
8月 | 本帰国決定→本帰国(父母共、13歳) |
9月 | 公立中学への登校開始(中2) |
翌1月 | 帰国生入試受験(国・数・英・面接) |
↓ | 合格 |
翌3月 | 公立中学卒業 |
翌4月 | 私立高校への登校開始(高1~) |
CASE4 現地校(アメリカ)→ 私立高校編入学(9月)
高1で編入試験を行っている学校が殆どなく苦労した。帰国決定があと少し早ければ…。
6月 | 本帰国決定、情報収集開始 |
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7月 | 本帰国(母、16歳) |
8月 | 帰国生入試受験(国・数・英・面接) |
↓ | 合格 |
9月 | 私立高校への登校開始(高1~) |
12月 | 本帰国(父) |