Press "Enter" to skip to content

英国QS社による比較分析結果「日本の大学は、研究への投資停滞と競争激化により苦戦中」

河合塾グループを運営する『株式会社KEIアドバンス』の日本地区オフィシャルパートナーであるイギリスの高等教育コンサルタント『QS社(Quacquarelli Symonds社)』が、「分野別QS世界大学ランキング」の第12版を発表した。

研究分野数は「東京大学」がアジア1位を維持、世界でもトップ50にランクイン

本ランキングは、世界各地88カ所にある1543大学の学生が受講している15,200の各大学の個別科目のパフォーマンスについて、QS社が比較分析したもの。調査対象は、51科目と5つに大別した学問領域(芸術・人文学、工学・技術、生命科学・医学、自然科学、社会科学・経営)となっている。

これによると、アジア地区の大学では、398科目が上位50位にランクイン。日本の大学の学部数はそのうちの72を占めるが、2019年より7つ減少した。ほか、105が中国本土、76が香港からとなっている。

日本の該当科目のうち、順位を上げたのは16%にとどまり、32%が順位ステイ、48%が順位を下げた。日本からは15科目が科目別の世界上位20位以内にランク入りしているが、1科目を除き、すべて東京大学のものだった。多様化が進む海外の競争校とは異なり、日本の高等教育分野は依然として単独フラッグシップ大学である東京大学によって上位を占められている。なお、同大学の41科目は学部別の世界上位50大学にもランク入り。アジアのどの大学よりも多い結果となった。

世界大学ランキング不振の一因は、過去10年における科学・技術の研究に対する投資停滞

こうした結果を受けて、QS社のシニアバイスプレジデントであるベン・ソーター氏は次のように述べている。「日本がQS世界大学ランキングで、成績不振になっている一因は、科学・技術の研究に対する日本の支出が、過去10年に、世界の多くの競合校に遅れをとったという事実にあると考えています。大学ファンドなどの新たな政策イニシアチブは正しい方向に向かう一歩であるものの、少なくともこの先5年は、それらの効果が私たちのランキングで可視化される可能性は低いと思われます」。

また、次のようにも続けている。「中国は、博士号過程の学生数を安定的に増加させていて、2025年までにSTEM教育を専攻する学生はアメリカの約2倍になると予想されている。これに対し、日本は博士号候補者に十分な資金を提供してこなかったので、ここ20年、博士号候補者数の一貫した減少が見られます。イノベーション、イノベーター、大学への限られた投資が結果的に研究成果減少となり、QS世界大学ランキングの結果に直接的に表れています」。

同社による「2023年版QS世界大学ランキング」の結果については、こちらの記事で紹介している。

(取材・文/松井さおり)