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プリスクールの子どもたちがウクライナへ救援金(前編)

ミニひまわりの苗を販売した売上金を寄付

兵庫県神戸市にある「インターナショナル・プリスクールCHES(チェス)」では、1歳半から就学前までの全園児が主体となり、種を植えてミニひまわりの苗を栽培。6月21日にチャリティバザーを開催し、その苗を販売して、売上金2万5450円を日本赤十字社を通して「ウクライナ人道危機救援金」に寄付した。

ウクライナのために自分たちでできることを検討

CHESではロシアによるウクライナ侵攻後、子どもたちから「ロシアとウクライナって本物の戦争?」「もし日本にも誰かが来たらどうなるの?」などといった声が挙がるようになった。毎日報道されるニュースのリアルな映像により、園児たちの心の中に漠然とした不安が広がっていたのだ。そこで、園児らの不安を軽減するために「いま、私たちができることは何だろう」を皆で考えてみることにした。

当園のサークルタイム(輪になって1日の始業準備などの活動を行う朝の会)では、毎月テーマを定めて調べたり会話したりする時間を設けている。各月のテーマは毎年同一で、4月ならば“All abou me”。「私が大切にしているもの、好きなもの」を考えるに際して、好きな友だちやフレンドシップについて触れ、身近な友だちだけでなく世界中のいろいろな国の友だちのことも考えてみることへとつなげている。9月は”Earth day“で、「地球を大事にしよう、守っていこう」ということから、地球の環境や世界の平和について関心が広がっていくように導いている。もちろん、さまざまな国出身の先生方の存在も、世界への感度を高めるのに一役買っている。

そんなベースがあったからこそ、園児たちはウクライナの問題を自分事としてとらえ、「自分たちで何かできることはないか?」と考え始めたのだ。

園児が見た「ウクライナのひまわり畑」のテレビ映像もヒントに

そして、ウクライナの支援を検討し始めていたある朝、NHKの朝の番組でウクライナのひまわり畑の映像が流れたという。それを見た園児がサークルタイムで「テレビでウクライナのひまわり畑を見たよ」と発言したことから、調べてみると、ひまわりはウクライナの国花であり、栽培が盛んであるといったことが分かった。

そこで、「ひまわりの苗を育てて販売し、売上金をウクライナへ寄付しよう!」と方向性が定まった。園児たちの身長を考え、ひまわりでなくミニひまわりとした。

これまでもベルマークや古切手を園児自身が集めて寄付活動

阪神・淡路大震災のあった神戸に立地する同園では、2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震の際には、園児らが主体となり各家庭にある商品からベルマークを見つけだし、園で集めてそれぞれの地域の小学校に寄付した経験がある。

ほかにも、古切手を「日本キリスト教海外医療協会」に寄付して開発途上国の保健医療協力に役立てる、などの活動も行ってきた。たとえ小さな手でも、自分自身の手を動かして困っている人のお手伝いをする「CHES Little Hands Project」の経験を積み重ねきた。

そのような積み重ねの上で決定した、種から育てたひまわりの苗の販売によるウクライナ支援。「Little Hands Project for Ukraine」と名付けられた園児たちの支援活動、明日もその続きをご紹介しよう。

(取材・文/大友康子)