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Q&A 現地校の勉強と帰国入試の勉強を両立させるには?

Q. 「現地校の勉強や活動」と「帰国生入試の勉強」を両立させるため、保護者は何をすればいいですか?

(アメリカ・現地校に通う小学生と中学生の保護者)

A. アメリカの現地校に通う子どもたちは、学校文化や教育制度・内容、言語などが日本と大きく異なる環境下で本当によく頑張っていると思います。家庭においても現地校から出された課題をこなし、さらに帰国後を見据えて国語や算数・数学など日本の勉強にも取り組んでいるでしょう。補習校に通っているなら、その宿題も少なくないはずです。

そういった生活の中で日本の中学や高校の帰国生入試に臨む場合、保護者の関わりがとても重要となってきます。保護者が忘れてならないのは温かな声かけです。頑張っているお子さんをしっかり励まし褒めてあげてください。会話を絶やさず、様子をみてリラックスする時間を作ってあげることも必要です。その上で「受験情報の収集」「お子さんの健康管理」「集中できる環境づくり」を行い、限られた時間の中でいかに現地校の勉強・活動と受験勉強を効率的に進めていくかが成功の鍵になります。

学校の選択

性格や学力、希望、関心などからお子さんにとってどういった学校がよいか、ご家族でしっかり相談しましょう。情報収集には弊財団発行の『帰国子女のための学校便覧』、例年開催している「海外学校説明会(※1)」や「国内学校説明会(※2)」もお役に立てるでしょう。また一時帰国の機会があれば、お子さんと一緒に学校を訪問することをお勧めします。この「学校に入りたい」という思いは、受験勉強を乗り越える大きなモチベーションとなるに違いありません。

※1…2020年度はコロナ禍により中止 ※2…2020年度はWEB開催

受験情報の取得

志望校が決まれば、その学校の受験情報をできるだけ早く取得しましょう。高校の帰国枠受験の場合、公立なら各都道府県によって、国立や私立なら学校によって考査内容が異なります。3教科(国語・数学・英語)と面接といった学校が多いようですが、5教科すべての試験を課すところもあります。「書類・面接」「小論文・面接」と教科試験を行っていない学校もあります。

志望校の過去問題も参照し、「何に重点を置き(得意教科なのか不得意教科なのか等)、時間をかけて取り組んでいくか」について、小学生のお子さんとは一緒に考え、中学生のお子さんにはしっかりアドバイスをしてあげてください。

計画と勉強の進め方

受験までに取り組む教科や内容が決まれば、いつまでに何をやっていくのかを考え、無理のない計画を立てましょう。次に一日の中で受験勉強にあてられる時間を割り出し、短時間で集中して学習に取り組むようにします。集中力を切らさないためにも、1つの教科(内容)にかける時間は30分から1時間。決めた時間を守り継続してやることが大事です。複数の教科(内容)があれば、それも含めて時間配分を考えてください。

受験に向けての勉強は必要です。しかし現在お子さんが在籍している学校の勉強をおろそかにしてはいけません。その学習経験は今後大いに生かされます。またそこで評価された成績は受験の結果にも影響します。ある入試担当者に「帰国生に求めるもの」を聞いたところ、「語学力」「グローバルな考え方」「自主性」という答えと共に「海外での貴重な体験、特に困難な状況を乗り越えてきた力」と返ってきました。お子さんが現地
で体験したこと、努力したことは必ず将来に繋がります。海外で暮らす多くの頑張っている子どもたちに、心からエールを送ります。

お話を伺った方

菅原氏

公益財団法人 海外子女教育振興財団相談員
菅原 光章(すがわら みつあき)氏 

奈良県の公立小学校で教諭、教頭、校長を歴任。1983 年より3 年間台北日本人学校へ赴任。2015 年度、同志社国際学院初等部にて教育サポーターとして勤務。奈良県国際理解教育研究会の事務局長、副会長、会長を歴任。2016 年より財団関西分室の教育相談員。