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中学受験、本人&保護者アンケート。[私立・国立編]と[公立中高一貫編]に差異

中学受験と高校受験向け進学塾の栄光ゼミナール(東京都千代田区)が中学・高校受験生とその保護者に向けて行ったアンケートについて、昨日は高校受験をした子どもとその保護者の結果を参照した。本日は中学受験版をご紹介。

中学受験生は[私立・国立中学受験編](調査人数:受験生211、保護者222名)と[公立中高一貫校受検編](同:受検生100人、保護者114人)とに分けて分析した。そこに興味深い差異も見られたので、その比較について見ていくことにしよう。

受験決意、私立・国立は「母」、公立は「子ども本人」

私立・国立中学の受験生の保護者に、最初に受験をしようと考えた人を聞いたところ、49.5%の保護者が「母」と回答。次いで、「子ども」が27.5%、「父」が19.8%だった。一方、公立中高一貫校受験では45.6%の保護者が「子ども本人」と回答。次いで、「母」が36.8%、「父」が14.9%だった。

私立・国立中学を受験した家庭の約半数が「母」が受験のきっかけとなっている反面、公立中高一貫校受検では「子ども本人」の割合がもっとも高く、きっかけに違いがあることが明らかとなった。

私立・国立中学受験は保護者自身が経験している場合も少なくないのに対し、公立中高一貫校の制度は1999年から始まったため、保護者自身はまったっく経験しておらず、子どもの意思が反映されやすい面がある。また、専門的な対策が高学年以降(首都圏の塾の多くは、専門コースは小学5年生頃から)ということもあり、子どもの意思がきっかけになる割合が高いようだ。

さらに、高学年になって、子ども自身が地元の公立中ではなく、より自分に合った学校に進学したい、という考えが出てきた際に、私立・国立中は間に合わないけれども、公立中高一貫校なら受検勉強に追いつける、という受検生もいると考えられる。

公立中高一貫校受検生は3割強が習い事やクラブを続けたまま受検と両立

私立・国立中学受験生の保護者に、習い事やクラブを続けた時期を聞いたところ、最も多かったのは、「小5まで」で33.3%だった。「辞めずに続けた」という家庭も23.9%あった。一方、公立中高一貫校受検生の保護者に同じ質問をすると、「辞めずに続けた」が45.6%で最も多かった。

  私立・国立中学の受験生と公立中高一貫校の受検生を比べると、公立中高一貫校の受検の方が、習い事やクラブを辞めずに続けていたことが明らかとなった。

私立・国立中学は、小学校では扱わない内容も出題され、また出題される知識量も多いため、早期からの対策が必要で、塾での授業時間や学習量も多くなる。そのため、中学受験対策が本格化する小学4年生頃から習い事を整理しはじめ、学年が上がるにつれて、通塾日数や学習時間、学習量がさらに増え、習い事を辞める受験生が少なくないと考えられる。

一方、公立中高一貫校は、問題を解くために必要な知識や計算力などは、学校で習う範囲内にとどまっているため、知識を会得する学習量や時間は、私立・国立中学と比べると少なくて済む。また、私立中学は受験日が重ならない限り、全国どの学校でも受験が可能なため、複数校受験するのが一般的。公立中高一貫校は、学校の所在地の都道府県内(市立の場合は市内)に居住していることが受検資格のため、多くの場合で1・2校の受検にとどまり、受検対策も絞られるため、習い事を辞めずに続ける受検生が多いと考えられる。

私立・国立中学は小学校低学年から、公立中高一貫校は高学年から受験対策

栄光ゼミナールの広報ご担当・渡辺美織(わたなべ・みおり)氏は本調査を総括して次のように語る。

「私立・国立中学受験では、小学校で扱わない内容が出題されることもあり、受験に必要な知識を身につけるための専門的な対策を、小学校低学年からはじめるご家庭も増えてきています。また、中学受験を経験している保護者が少なくないため、保護者の意思をきっかけに受験を考え始めることが多いと考えられます。

一方、公立中高一貫校受検は、小学校の学習範囲から出題されるため、専門的な対策も小学校高学年からはじまるのが主流となっており、子どもの意思がきっかけになる割合が高いのではないでしょうか。習い事を辞めずに続けた子どもが公立中高一貫校受検生に多いのも、専門的な対策の開始時期や受検までに必要な学習量、1週間の通塾回数などが、私立・国立中学受験とは異なるためだと言えます」

(取材・文/大友康子)