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帰国生にも朗報!? “昭和の学校”を英語で1日体験できる企画(前編)

千葉の廃校キャンプ場で日本の学校体験

日本を訪れた外国人向けに日本の古き良き学校文化を体験してもらう体験型観光サービス「日本の田舎の学校体験」が11月からスタートした。インバウンド向けだが日本人の参加も可能で、学校体験は英語で行われることから、海外で学生時代を過ごした帰国生や日本に一時帰国中の子どもにとっても興味深い企画となりそうだ。

企画したのは、企業のスポーツイベントや研修等の企画・運営とともに廃校キャンプ場の運営を行う株式会社運動会屋。「日本の田舎の学校体験」は、同社が運営している廃校キャンプ場CAMPiece君津にて行う。CAMPiece君津は、千葉県君津市の旧亀山中学校(2020年3月閉校)と隣接する旧坂畑小学校(2021年3月閉校)の2校の跡地を利用して昨年オープンした廃校キャンプ場で、校舎も校庭も当時の面影をそのままに残している。

日本の田舎町、時代は昭和、という設定で、田園風景の中にたたずむ学校に1日入学。体験者は学ランやセーラー服を着用し、“担任の先生”が教室で授業を行うという。入学式から始まり、朝のホームルーム、日直、国語、歴史、書道などの授業、給食、運動会、1日の終わりには卒業式で卒業証書を授与。日本の学生たちが経験してきた学校生活を擬似体験できるという。オプションとして、校庭でのキャンプ泊や温泉旅館への宿泊も可能だ。

日本の学校で異文化体験

インバウンド向け日本のリアルな学校体験という斬新な企画について、運動会屋代表取締役CUO(Chief UNDOKAI Officer)の米司隆明(よねじ・たかあき)氏は、「弊社は日本の文化であるUNDOKAIを世界へ発信する活動をしており、外国人に日本の文化を発信したい想いが根底にあります。日本人にとっては目新しくはありませんが、日本の学校生活を体験したことのない外国人にとっては新鮮に映るのではないか。これまでに日本の運動会をそのまま外国人に体験してもらったときと同様に、そう思いました」と話す。

インバウンド需要と地域の活性化につなげたい

運動会屋によれば、日本のインバウンド需要は回復しつつあり、観光庁の調べでは2023年7-9月期の訪日外国人の消費額は2019年同期に比べて17.7%増の1兆3,904億円となり、3か月間の消費額としてはコロナ禍の前を上回って過去最高(※1)になったが、廃校のある千葉県君津市は羽田空港から車で約50分、成田空港から車で約80分という好立地にありながらインバウンド向けの魅力的なコンテンツがなく、鴨川や南房総などの観光地への通過点となってしまっているという。さらに、木更津からCAMPiece君津のある亀山地区まで走るJR久留里線は存廃の岐路に立っていて、地域の課題となっている。そこで、君津にインバウンド向けのサービスを考案、「日本の学校体験」を軸に地元の宿泊事業者や鉄道業者と連携し、地域の魅力の向上と地域経済の活性化を図るという。

「インバウンドが増える中、町のにぎわい創出のためにぜひとも、CAMPieceにインバウンドを取り込みたいと考えていました。君津の校内を歩きながら、こんなに環境がそろっているならいっそのことそのまま体験してもらえばいいと、アイデアを思いつきました」と米司氏。実際にどんな体験ができるのか、続きは明日掲載の(後編)でお伝えする。

※1:観光庁2023年10月18日プレスリリース【訪日外国人消費動向調査】 2023年7-9月期の全国調査結果(1次速報)の概要より

(取材・文/中山恵子)