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保護者に聞く、“ジェンダーバイアス“意識調査(前編)

子どもに対する「女の子らしさ」「男の子らしさ」意識調査の結果は?

近年、「ジェンダー平等」について語られる機会が増えてきた。SDGs(国連が定める持続可能な開発目標)でも、17ある課題のひとつとして「ジェンダー平等の実現」を掲げているが、子どもたちの保護者はどのように考えているのだろうか。親子の園生活を応援する情報誌「あんふぁん」「ぎゅって」を発行する株式会社こどもりびんぐ「シルミル研究所」が、電通ダイバーシティ・ラボと共同で実施した子どもにまつわるジェンダーバイアスに関する意識調査の結果を紹介したい。

ジェンダーバイアスとは、「男らしさ」「女らしさ」など男女の役割に関しての固定概念や、身体的な性別による差別や偏見といった問題を指す。本調査では、0歳から小学6年生の子どもをもつ保護者681名を対象に、子どもにまつわるジェンダーバイアスに関する意識調査を『子どもに対する「女の子らしさ」「男の子らしさ」意識調査』として実施。

調査のきっかけについて、株式会社こどもりびんぐ「シルミル研究所」の岡﨑奈穂子氏は、
「『ジェンダー平等』にはさまざまな面がありますが、これを妨げるものの一つにジェンダーバイアスがあるかと思います。昨今の読者の中には、男の子らしさ・女の子らしさは関係ないと日頃から子どもに教えている、と意識を持って行動している方も増えてきました。しかし、親世代(30代~40代)はジェンダーバイアスを受けて育ってきた世代です。また、父親の家事育児参加は珍しくない時代とはいえ、子育てにおいてもまだまだジェンダーバイアスはあるでしょう。それは未来を生きる子どもたちにも影響するのか、親たちの意識は今実際どうなのかを知り、子どもたちの個性が尊重される社会に必要な視点や取り組みを紐解くために調査をしました」と話す。

では、結果を見ていこう。

「ジェンダーバイアス」を知らない保護者が約6割(60.2%)に対し、約9割(88.5%)がその意味を知れば「子どもにも教えるべきと思う」と回答

「ジェンダーバイアス」という言葉を聞いたことがあるかという質問に対し、回答者の60.2%がジェンダーバイアスを「聞いたことがない」「聞いたことはあるが、意味までは理解していない」と回答。【図表1】

Q. SDGsの目標5に「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられていますが、「ジェンダーバイアス」という言葉を聞いたことがありますか。(単位:%)

一方で、ジェンダーバイアスとは「『女の子らしさ』『男の子らしさ』など男女の役割に関する固定的な観念や、それに基づく差別・偏見・行動などを意味すると説明した上で、「幼稚園・保育園・小学校で『ジェンダー平等』について教わる機会があるとよいか」という質問に対しては、88.5%の保護者が「とてもそう思う/ややそう思う」と回答した。【図表2】

Q. 「ジェンダーバイアス」とは 「『女の子らしさ』『男の子らしさ』など男女の役割に関する固定的な観念や、それに基づく差別・偏見・行動など」を意味しますが、幼稚園・保育園・小学校で「ジェンダー平等」について子どもたちが教わる機会があるとよいと思いますか?(単位:%)

回答者の声

  • 「大人もイマイチよくわからないのが現状なので、子どもと一緒に学べる機会があるとうれしい」(30代/3歳・小1・小5)
  • 「絵本や漫画など子どもと一緒に学べる簡単なものがあると良い」 (40代/3歳・小1)
    *回答者コメント(親の年代/子どもの年齢)、以下同

「ジェンダーバイアス」の意味を設問に加えたところ、保護者の約半数(49.6%)が、子どもと接する際に「ジェンダーバイアス」を意識し、その多くは「子どもの意見を尊重したい」「世の中の価値観が変わってきていると感じる」と回答

子どもと接する際に、ジェンダーバイアスを意識している親は49.6%【図表3】。その理由としては「子どもの意見を尊重したいから(63.3%)」「世の中の価値観が変わってきていると感じるから(61.2%)」が多く、子育てに対して「女の子らしさ」「男の子らしさ」より、「その子らしさ」を尊重したいという意識が見られた【図表4】。

Q.自分の子どもと接するときにジェンダーバイアスを意識していますか?(単位:%)
Q.ジェンダーバイアスを意識して接している理由を教えてください。(複数回答可、N=338人)(単位:%)

回答者の声

  • 「男の子だから、女の子だからと言わないようにしている」(回答者多数)
  • 「遊び相手や持ち物の色を性別で区別しない」(30代/4歳・6歳)
  • 「自分が自分らしく生きることがその人にとって幸せなんだと話した」(40代/4歳・小1・小3)

続きは、後編(月曜掲載)にて紹介する。

【調査概要】

調査方法 インターネットによる調査
調査対象者 子育て情報サイト「あんふぁんWeb」「ぎゅってWeb」メール会員(全国)のうち、小学生以下の子どもをもつ保護者
調査時期 2022年2月16日~3月6日
回答数 681人
調査実施 株式会社こどもりびんぐ(シルミル研究所)
出典 こどもりびんぐ「シルミル研究所」、電通ダイバーシティ・ラボ

(取材・文/中山恵子)