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日本の大学が「雇用されて働く力の育成」でアジアをリード(後編)

昨日は高等教育専門調査会社「QS Quacquarelli Symonds」(以下「QS」)が発表した「2022年版 QS Graduate Employability Rankings」の結果を見た。本日は、ランクインしたいくつかの大学の「エンプロイヤビリティ」に関する詳細などを見てみよう。

東京大学の「雇用者からの評判」は世界第9位

東京大学は、「Employer Reputation(雇用者からの評判)」という指標で「100点満点中99.5点」。日本国内で最高のスコアを獲得した。この指標は、世界中の雇用者から得た7万5000 件以上のアンケート結果に基づいている。東京大学の「Employer Reputation」という指標のスコアは世界第9位だ。

「Alumni Outcomes(卒業生の成功度)」という指標においても、「100点満点中97.7点」で、日本で最高のスコアを獲得。この指標は、当該大学の卒業生で、キャリアでの指導的地位や名誉ある地位を獲得した人の数を反映している。東京大学の「100点満点中97.7点」というスコアは世界18位にあたる。

また、東京大学は日本の大学のなかで最も多くの企業とパートナーシップを結んでおり、「Partnerships with Employers(雇用主とのパートナーシップ)」という指標において、「100点満点中91点」を獲得している(世界50位)。

東海大学の「雇用者と学生のつながり」99.2点は日本最高スコア

総合ランキングでは301-500位グループながら、特筆すべきスコアをたたき出した大学もある。

例えば東海大学は、日本の大学のなかで最も多くの企業をキャンパスに招き、学生と企業の出会いを促進している。「Employer-Students Connections(雇用者と学生のつながり)」の指標で「100点満点中99.2点」という日本最高のスコアを獲得している(世界10位)。

また151-160位グループの東京理科大学は「Graduate Employment Rate(卒業生雇用率)」の指標で、日本最高の「100点満点中99.9点」というスコアを獲得(同指標のスコアは地域の事情に鑑みて調整されている)。これは世界で7位となる。

「エンプロイヤビリティ」ランキングも大学選びの重要な観点に

英国QS社の、日本国内のオフィシャルパートナーであるKEIアドバンス(河合塾グループ)QSパートナー事務局はランキング結果に対し、次のようにコメントする。

「今回のランキングの結果では、トップ100大学の中に日本の大学が7大学含まれており、これはアジアの他国と比較して、ランクイン数は最多数ですが、そのうち5校が前年と比較して順位を下げており、世界大学ランキング同様相対的地位が下がりつつあります。

一方、このグローバルレベルでのエンプロイヤビリティ向上の取組の結果とその将来性の観点から世界の各大学のパフォーマンスを比較するランキングでの各指標で世界トップレベルの大学もあり、それらの大学の就職支援への取組が世界でも認められているということになります。今後日本では18歳人口が減少するなか、留学生獲得が加速化することが予想され、大学選びの際にこのランキングも世界大学ランキングに加え重要視されるようになると思われます」

(取材・文/大友康子)