『株式会社ディスコ』(本社:東京都文京区)が運営する「キャリタス就活」が、2021年卒の理系学生の就職活動に関する調査データの中から主なものを抜粋し、専攻分野(機械・電気系/情報系/化学・農学・薬学系)、あるいは文系学生との比較などを通じて、その特徴を分析している。今回は、学生がどのように就職先の企業を決めたのか、追いかけてみたい。
7月には理系就活生の半数近くが業界研究を開始
今回の報告によると、理系は文系に比べ、業界研究の取り掛かり時期が早く、7月時点で43.8%、10月には64.5%の理系学生が業界研究を始めていることが分かっている。文系が4割に達するのは9月、6割に達するのは11月であることからも、理系就活生ならではの顕著な傾向といえる。中でも、機械・電気系は特に早く、7月には過半数の52.7%に達するなど、他の専攻分野の学生を終始リード。情報系は早い層と遅い層に二分する傾向が見られた。
なお、就職活動量については、理系学生の社数は、エントリー、企業セミナー、エントリーシートと、すべての活動において文系を下回り、企業を絞って活動する傾向が強いことが分かっている。その中でも、機械・電気系、情報系は社数が少なく、化学・農学・薬学系は比較的多いという特徴が見られた。7月時点の活動状況を見てみると、前年に比べエントリー数は減ったものの、企業セミナーや面接者数は増加しており、新型コロナウイルス感染拡大後に積極的に活動した様子が見てとれる。
文系に比べ、内定獲得のペースも早期傾向に
内定獲得のペースも、文系に比べて早く、4月~6月までの内定率の文理差は10ポイント以上。特に5月は14.6ポイントと大きく差が開いた。理系の中でも特に早期内定獲得が目立つのが機械・電気系と情報系。化学・農学・薬学系学生は、文系との差が比較的小さい。また、理系全体の内定率を2カ年で比較すると、4月までは前年を大きく上回り早期化が顕著だったが、5月にほぼ同率となり、6月以降は下回った。コロナ禍での企業の採用活動が停滞した影響が表れている。
就職が決定した業界のランキングでは、機械・電気系学生の決定業界は1位「電子・電機」(21.2%)、2位「自動車・輸送用機器」(19.2%)。情報系学生は「情報処理・ソフトウエア・ゲームソフト」に集中しており、3割を超えている(33.3%)。化学・農学・薬学系学生は、1位「医薬品・医療関連・化粧品」(19.6%)、2位「水産・食品」(12.0%)で、上位業界は、いずれも専攻分野との関連が見られた。
就職決定職種の上位は、機械・電気系学生は「研究・開発・設計系」が半数を越え1位(54.4%)、2位は「IT系」(18.9%)だった。情報系学生は「IT系」に集中しており、7割を超えている(70.2%)。化学・農学・薬学系は比較的分散し、1位「研究・開発・設計系」(39.0%)、2位「生産・製造・品質管理系」(15.9%)、3位「IT系」(13.4%)だった。
また、文系に比べて大手企業に決定した学生が多いのも特徴。特に、機械・電気系学生においては4割超え(44.3%)が5,000人以上の大手に決定している。就職決定企業で働きたいと思ったタイミングについては、文系が「選考試験を重ねていく中で徐々に」が最多(35.8%)であるのに対し、理系は「インターンシップに参加した時」が最多(26.7%)という結果に。特に、情報系は「インターンシップに参加した時」が3割を超え(31.3%)、他の専攻よりも高かった。一方、化学・農学・薬学系学生は「選考を重ねていく中で徐々に」(34.8%)が高く、文系学生に近い傾向が見られた。
(取材・文/松井さおり)