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学校関係者が教える 入寮準備の進め方

進学のために子どもだけを先に帰国させる場合や、帰国後の自宅が学校から遠い場合などにとても助かる学校の寮。しかし、入寮までに必要なステップは意外と知られていません。そこで、寮のある学校にアンケートを実施。入寮までの進め方を伺いました。

STEP 1:入寮条件を確認

無条件の学校もあるが、「自宅から1時間以上の通学時間を要する者」(立命館宇治)や「帰国生で、保護者が海外在住である者(閉寮期間などに国内で滞在する先があること)」(土浦日大)といった入寮条件のある学校も。

また、費用と合わせて必ず確認しておきたいのが、閉寮期間の有無。今回のアンケートでも、夏休みや年末年始などの長期休暇中の閉寮について「ある」と回答した学校は5校中4校もあり、各自代替滞在先の確保が求められている。日本国内に自宅がない場合は、滞在可能な親戚宅や知人宅を探しておく。

初年度にかかる費用平均*

入寮費 13万3000円
寮費(食費込み) 8万2833円
寮費(食費別) 7万円
食費(寮費別) 5万3750円

※本アンケートにおける入寮費用の最高額は24万円。中にはゼロの学校もあり、入寮費のかかる4校から算出した平均入寮費は16万6250円だった。2年次以降は当然ながら入寮費不要。また学年による寮費や食費の変動はなく、寮費の中に食費もすべて含まれている学校は3校あった。なお、これらはあくまでも寮費であり、学費は別途支払いが必要となる

STEP 2:寮の生活環境や規則を確認

まずは、生活環境や雰囲気が子どもの性格や生活スタイルと合っているか吟味する必要がある。たとえば、部屋だけでも、「完全個室」(海陽学園/関東学院六浦/土浦日大)の学校もあれば、「中学生は2〜3人部屋、高校生は2人部屋」(茗溪学園)、「同学年の生徒と2人部屋」(立命館宇治)と寮によって様々。合わせて、お風呂やトイレも、共用なのか部屋付きなのかも確認しておくと安心だ。

食事提供や学習環境の詳細についても事前に把握しておきたいところ。たとえば、「休日も含め、常に3食を提供」(海陽学園/土浦日大/茗溪学園)する学校もあるが、「昼食の提供はなし」(立命館宇治)、「昼食および休日の食事提供はなし」(関東学院六浦)という学校もある。食事提供がない時は、多くの寮生が学校内の食堂を利用したり、各自でお弁当やパンを購入しているという。

また、学習環境については、今回の5校すべてで「勉強する時間」が明確に設けられていた。ほかにも、清掃や食事の配膳を当番制にしている学校や日直制度を設けているところも多い。

チェック項目(例)

  • 生活環境が子に合っているか
  • 雰囲気が子に合っているか
  • 部屋が個室か相部屋か
  • 食事の提供体制はどうか

STEP 3:寮を見学

生活の基盤となる場所なので、ミスマッチを防ぐためにも、できれば実際の雰囲気や生活環境を見ておくことが望ましい。現在は新型コロナウイルス感染症対策のため、寮見学の実施を控えている学校もあるが、学校説明会や入試説明会の時に寮内を案内している学校もあるので、事前に日程を調べておく必要がある。中には「夏休みを利用した〝宿泊体験入学〞を実施(2020年度はコロナの影響で実施なし)」(海陽学園)するなど、寮生活をリアルに体感できる場を設けている学校もあるので、忘れずにチェックをしておきたい。

また、一時帰国に合わせて個別で寮見学に対応してくれる学校も多いので、定められた寮見学の日に参加できない場合も、問い合わせてみる価値はありそうだ。一部ではあるが、新型コロナウイルスの影響を鑑みて、オンライン見学を実施している学校もある。なお、見学の際には、雰囲気だけでなく、設備や収納サイズ、日課表などを把握しておくと、必要な物の準備や入寮後の生活イメージがしやすくなる。

STEP 4:入寮前の心の準備・モノの準備

親元を離れて長期にわたる寮生活を送ることとなるので、大前提として、本人がしっかり納得した上で入寮する必要がある。家庭でよく話し合い、入寮を決めること。

さらに、寮では、洗濯や掃除などの身の回りのことは自分でしなければならなくなるため、事前にひと通りのことはできるようにしておかなけえばならない。制服でネクタイを着用する学校では、1人で締められるようにしておくこと。

また、集団生活の中では決められた時間の中で行動をする場面も多いので、入寮前から規則正しい生活をしておきたい。

生活用品については寮に備え付けてあるところが多く、事前に一式買い揃える必要はない模様。着替えなどの最低限の荷物で入寮し、必要に応じて、ネット通販や学校内の売店などで徐々に買い足すのがおすすめだ。

買い揃えなくてもいいモノ

シャンプーやリンス、洗濯洗剤などの生活用品は備え付けてあるところと、各自で用意するところと分かれるので確認が必要。今回のアンケートでは、備え付けてあるところの方が多かった。また、売店で物品を購入できたり、宅配便OKのところがほとんどなので、事前にあれこれ買い揃えなくていいようだ。布団は持ち込みもできるが、ほとんどの学校でリースできるので、無理に準備する必要はないといえる。

STEP 5:入寮当日の動きを把握

入寮当日に保護者の同伴が必要かどうかは、学校ごとに全く異なっている。「必要ない」(土浦日大)と明言しているところもあれば、「できれば同伴してほしい」(関東学院六浦/立命館宇治)、「必ず同伴」(海陽学園/茗溪学園)という学校も。

ただし、当日の保護者同伴を必須としていない学校でも、実際には、荷物の搬入時に保護者が立ち会うケースが多いようだ。中には、「子どもがオリエンテーションや歓迎会に参加している間、保護者は説明会に出席」(海陽学園)というところもあるので、入学する学校によってはあらかじめ一時帰国の日程を調整しておく必要がある。

入寮後のやりとりについては、 海外で暮らす保護者も多いため、メールを中心に連絡をとる学校が多い様子。ただし、インフルエンザなどの感染症に罹患した場合は自宅療養を要請している学校がほとんどなので、長期休暇中における〝閉寮期間〞の代替滞在先と同様、緊急時に子どもが滞在できる場所を確保することが求められる。

寮は子どもの心身を大きく育ててくれる!

寮は自主性を養い、自立を促す格好の場。大切な子どもが巣立つのは寂しい思いもあるが、子どもの成長のためには温かく見守りたい。まずは後悔のない学校選び、寮選びができるよう、子どもと話し合いの場を持つことから始めよう。

※…アンケート協力校(50音順)/海陽中等教育学校、関東学院六浦中学校・高等学校、土浦日本大学高等学校、茗溪学園中学校高等学校、立命館宇治中学校・高等学校